国道・高速道路の「上り・下り」 “定義”を知らない人が多すぎる!
道路の上り・下りについての理解が運転に役立つこと
国道の歴史から見た上り・下りの定義
高速道路における上り・下りの区別方法
道路にはさまざまなルールや用語があり、私たちはそれらに基づいた共通認識を持って運転している。しかし実際には、よく知られていないものある。
そのひとつに、道路の
「上り・下り」
がある。よく「上り線・下り線」といわれるが、聞いたことはあっても実際にどのように定義されているのか知らない人も多いだろう。
日本では、一部の幹線道路とほとんどの国道、高速道路で上り・下りが定義されている。つまり、クルマを運転するとき、誰もがそのような道路を使うのが普通なのだ。
上り・下りを知ることは、よりスムーズな運転につながり、また運転に対する興味や好奇心も湧き、その質の向上にもつながるので、知っておいて損はない。
皆さんの運転がよりよいものになるよう、本稿では道路の上り・下りについてさまざまな角度から解説していく。
まず、国道の歴史から見ていこう。近代の国道は1876(明治9)年に誕生した。江戸時代の五街道を引き継ぎ、東京の日本橋が起点となった。大正時代までは、国道は「東京市より〇〇府県〇〇に達する路線」とされ、すべては東京の日本橋を起点としていた。
1965(昭和40)年には道路交通法が改正され、現在の一般国道が定義された。この法律には、国道の「起点・終点」も記されており、
・重要都市
・人口10万人以上の都市
・特定重要港湾
・重要な飛行場または国際観光上重要な地
などが起点となるように定められ、起点に接続する国道の最終地点を終点とした。したがって、各国の道路にはそれぞれ起点・終点がある。
起点・終点には上り・下りが大きく影響する。道路の終点から起点に向かう方向が上り、起点から終点に向かう方向が下りである。高速道路も同じ定義である。
高速道路を見ると、日本列島を縦断する路線は上り・下りの区別がつきやすい。東名高速道路と東北自動車道は、東京都またはその近郊を起点としているため、すぐにわかる。名神高速道路、中国自動車道、山陽自動車道、九州自動車道、そのほかの主要な地方高速道路も東京を起点としていないが、東京に近づくと上り、東京から離れると下りと表示される。
そのほか、山形自動車道、米子自動車道、長崎自動車道なども起点・終点がややこしいが、主要路線との接続地点を起点、反対側を終点としている。つまり、起点に向かう方向が上り、終点に向かう方向が下りである。