同じ「元大関」でも収入に大差!? 貴景勝と正代で本場所ごとの「褒賞金」に40万円以上の差が出るカラクリ

AI要約

貴景勝が大関から陥落し、復帰を目指したが途中休場。力士の報酬システムにより、元大関でも収入に差が生じる。

力士褒賞金が持ち給金を決定する要素として重要であり、金星や幕内優勝経験が大きな影響を持つ。

金星7個を持つ遠藤や北勝富士などの平幕力士が、褒賞金を大幅に増やす一方、大関経験者によって額に差異が生じる。

同じ「元大関」でも収入に大差!? 貴景勝と正代で本場所ごとの「褒賞金」に40万円以上の差が出るカラクリ

 7月場所で大関から陥落し、9月場所で10勝をあげての復帰を目指した貴景勝だが、途中休場に追い込まれて復帰は果たせなかった。力士の場合、番付に応じて月給に差が出る報酬システムになっているが、同じ「元大関」で収入に差が生じることもある。

 大関から陥落した貴景勝。大関時代は月給250万円だったが、関脇に落ちたことで月給は180万円に。さらに9月場所もケガで3日目から休場となり、引退しなければ来場所は平幕に落ちて月給140万円となる。たった2場所で月給が110万円も減るシビアな世界だ。

 5月場所で大関から陥落した霧島も、翌7月場所で10勝をあげての大関復帰はならなかった。現在の幕内には貴景勝と霧島に加え、御嶽海、正代、高安という大関経験者がいる。三役(関脇・小結)だと月給は180万円、平幕だと140万円という違いがあるが、それ以上に元大関の収入を分けるのが「力士褒賞金(持ち給金)」の存在だ。

 本場所ごとに支払われる力士褒賞金。各力士は初土俵の時に持ち給金3円からスタートし、勝ち越し1つにつきプラス0.5円、金星でプラス10円、幕内優勝でプラス30円(全勝ならプラス50円)といったかたちで加算され、持ち給金を4000倍した額が2か月に一度、支給されるのだ。

 9月場所を迎えた時点で、幕内力士のなかで最も持ち給金が高いのは横綱・照ノ富士の482.5円(支給額193万円)で、それに次ぐのが関脇の地位にあった貴景勝の264円(同105.6万円)だ。大関ながら貴景勝よりもキャリアの浅い琴櫻は108.5円(同43.4万円)、豊昇龍も129円(同51.6万円)となっている。番付通りにならない“逆転現象”が生じるのだ。

 同様に平幕ながら大関経験のある御嶽海は持ち給金が236円(同94.4万円)、高安も220.5円(同88.2万円)と、現大関陣よりも受け取る力士褒賞金の額が多くなっている。相撲ジャーナリストが言う。

「貴景勝に続いて幕内で3番目に持ち給金が多いのは玉鷲の256.5円(同102.6万円)。玉鷲は大関経験者ではないが、通算連続出場記録1位の1630回を抜いた現役最年長の39歳。幕内優勝経験が2回あるのと、金星7個あるのが大きい。御嶽海は幕内通算53場所ながら、優勝経験が3回あって持ち給金を積み増している。高安は優勝経験こそないが、幕内通算79場所で玉鷲に次ぐ2番目。金星も5個ある。

 このように褒賞金に大きく影響するのが金星です。玉鷲と並ぶ金星7個の遠藤は179.5円(同71.8万円)、同じく7個の北勝富士も172円(同68.8万円)と、平幕ながら大きな額の褒賞金を場所ごとに手にしている。この2人上回る182円(同72.8万円)の小結・大栄翔は優勝経験もあり、金星も4個ある」

 これに対し、大関経験者ながら金星2個(優勝経験1回)にとどまる正代は持ち給金が163.5円(同65.4万円)。大関を経験せずに金星を多く積み重ねた平幕力士たちにも後れを取っており、同じ「元大関」でも場所ごとに受け取る褒賞金の額は貴景勝よりも40万円以上少なくなる。年間で240万円以上の違いになるので、決して小さくはない。