居酒屋で「アバター接客」はアリなのか…その「意外な実力」が見えてきた
ミライザカ新橋銀座口ガード下店でアバターのラムネさんがリモート接客を行っており、福岡からオペレーターが操作している。
アバターダイニングラボが提供しているアバター接客サービスは、飲食店で人手不足を解消する可能性を持つ。
ラムネさんのオペレーターは複数店舗を同時に掛け持ちできるほか、アバター接客サービスは人間らしい温かいコミュニケーションを提供する。
「本日はミライザカにお越しいただき、ありがとうございます。ミライザカで飲み会サポーターをしているラムネと申します。よろしくお願いします」
ミライザカ新橋銀座口ガード下店のテーブルで、元気よく挨拶したラムネさんは、ホールスタッフではない。アバター。
生身の人間がラムネさんというアバターをオンタイムで遠隔操作しているというのだ。
ラムネさんは新橋のこの店に“出勤”しているが、オペレーターは在宅勤務。タブレット内蔵のカメラがとらえた、テーブル席に座っているお客の画像を、自宅のPCを通じて身振り手振りでリモート接客しているというのである。
ラムネさんの勤務は18時から。忙しくなる“出勤前”にインタビューさせてもらった。長年取材記者をしてきたが、アバターを取材するのは初体験。ちょっとワクワクした。
ーーラムネさん、よろしくお願いします。
「こちらこそよろしくお願いします」
ーーラムネさんのオペレーターはどちらにいるのですか。
「福岡の自宅でPCを操作しています。ミライザカにはタブレットを設置したテーブルが10卓あり、各テーブルでリモート接客をさせていただいています」
ーーアバターを通じてオンタイムで会話ができるとのことですが、どんな接客ができるのですか。
「ドリンクや料理の注文を取ったり、オススメ料理の紹介もします。お客様と乾杯もできるし、クイズのようなミニゲームを楽しんでいただくこともできます」
アバター接客サービスを提供しているのは、アバターダイニングラボ有限責任事業組合(以下、アバターダイニングラボ)。サントリーホールディングスとAVITAの共同出資で設立した有限責任事業組合だ。アバターダイニングラボの北垣歩武さんに話を伺った。
「従来キャラクターが存在しなかった飲食店にアバターがいれば、お客様に楽しんでいただけるのではないか。そう思い、アバターダイニングラボを設立しました」(北垣歩武さん)
飲食業界は長年人手不足が続いている。アバターの導入で人手不足を解消できる可能性が高いと北垣さんは説く。
自宅にPCがあれば、オペレーターとしてどこでも働くことができる。住んでいる場所に関わらず、雇用のチャンスがあり、育児中の人や身体的なハンディキャップのある人でも働きやすくなる。
福岡にあるラムネさんの自宅のPCには、ZOOM会議のように、複数のモニターが映っていて、切り替えてリモート接客している。たとえば、新橋と大阪の複数店舗を同時に掛け持ちすることも可能なのだそうだ。
「券売機やモバイルオーダーなど、飲食業界では人を介さない機能を導入しています。でも、人間だからこそできる温かいコミュニケーションを提供したいと思い、アバター接客サービスを開発しました」(北垣さん)