グレード1サーキットのインサイドエリアに常設される世界初のキャンプ場「RECAMP 富士スピードウェイ」9月20日オープン

AI要約

RECAMP 富士スピードウェイは、F1なども開催できる「グレード1」として公認するサーキットのインサイドエリアに常設される世界初のサーキット一体型キャンプ場。

施設内にはトレーラーハウスやオートキャンプサイトなど全36サイトが設定され、様々なサービスも提供される。

サーキット内でのキャンプ体験を通じて、モータースポーツファンとキャンパーが新たな体験をする機会を提供する。

グレード1サーキットのインサイドエリアに常設される世界初のキャンプ場「RECAMP 富士スピードウェイ」9月20日オープン

 静岡県駿東郡の富士スピードウェイに、アウトドア宿泊施設「RECAMP 富士スピードウェイ」が9月20日にオープンする。

 RECAMP 富士スピードウェイは、FIA(国際自動車連盟)がF1なども開催できる「グレード1」として公認するサーキットのインサイドエリアに常設される世界初のサーキット一体型キャンプ場。富士スピードウェイ・国際レーシングコースのセクター2にある「100R」イン側スペースに、グランピングを楽しめるトレーラーハウスや電源付きオートキャンプサイトなど全36サイトを設定。さらに管理棟、シャワー棟、コインランドリー、炊事棟、焚火台、炭・灰捨て場なども用意されている。

 また、事前予約すれば、カット食材とレシピをセットにした「ミールキット」やバーベキュー食材などを現地に用意してもらえるサービスも実施。手ぶらで行っても気軽にキャンプ飯やバーベキューを楽しめるようになっている。

「RECAMP 富士スピードウェイ」概要

名称:RECAMP 富士スピードウェイ(RECAMP FUJI SPEEDWAY)

所在地:静岡県駿東郡小山町中日向694(富士スピードウェイ 敷地内)

開業日:2024年9月20日

敷地面積:約2万m2

サイト数:36サイト(全サイト駐車スペース付き)

宿泊施設タイプ別一覧

 利用の予約はPCやスマートフォンからキャンプ場検索・予約サイト「なっぷ」に用意されている「RECAMP 富士スピードウェイページ」を表示して、利用したいサイトや日程を選んで申し込む。

■ ヴィンテージトレーラーコテージ

 敷地内の100R後半からADVANコーナーにさしかかるエリアに設定され、ADVANコーナー側に富士山の眺望も楽しめる「ヴィンテージトレーラーコテージ」は、アメリカから輸入した1970年製のキャンピングトレーラー「エアストリーム sovereign」の内装をフルリノベーションして宿泊施設として利用する1か所限定のサイト。

 磨き上げられたアルミボディが輝くエアストリームの車内では、生産当時のインテリアを生かしつつ、快適な寝心地を実現するダブルベッドやエアコンによる冷暖房、キッチン、オーバーヘッドシャワー、ウォシュレット完備のトイレといった最新設備を備え、充実したグランピングが楽しめる。また、サイト内には視点の高い展望デッキも設置され、コースを駆け抜ける車両の走りやサウンドをしっかり体感できる。

■ トレーラーヴィラ

 ヴィンテージトレーラーコテージの南側に2サイト並ぶ「トレーラーヴィラ」では、スタイリッシュな外観の近未来型トレーラーハウス「パークラウンド」を設置。ダブルベッド2台を設置したホテルライクな室内空間にはトイレやシャワーも備え、長期滞在も快適に過ごせる宿泊施設となっている。また、コースを望む側面は、雨などに濡れることなくコースでの走行を観戦できるオープンエアデッキとなっている。

■ ドッグ・オートキャンプサイト/ドッグ・トレーラーコテージ

 コース脇スペースの南側には、四方を高さ1500mmのフェンスで取り囲み、愛犬といっしょにオートキャンプを楽しめるようにしたサイトも多彩に設定。

 通常のテント用スペースを用意する「ドッグ・オートキャンプサイト」3か所に加え、サイト内に屋外シンクや家具、AC100V電源、犬の足洗い場などを完備する「ルーフデッキ付きドッグ・オートキャンプサイト」2か所もラインアップ。さらにルーフデッキを備え、テントなどを設営する必要のない「ドッグ・トレーラーコテージ」2か所も用意されている。

 車両が走行する排気音で犬がパニックになることも想定して、オープンから一定期間は様子を探るため、中型犬までの利用に制限。利用者がサイトに到着してしばらくのあいだは、犬が状況に慣れるまでリードを付けたまま過ごしてもらう方針とのことだ。

■ キャンピングガレージハウス

「クルマ好きのガレージ」をコンセプトに設計された「キャンピングガレージハウス」は、冷暖房完備の屋内スペースで愛車と並んで宿泊できるガレージ型宿泊施設。ガレージの外階段から上がっていける展望デッキは高さがあり、100Rを一望できるようになっている。

■ トレーラーコテージ

 キャンピングガレージハウスの西側に3サイト設定される「トレーラーコテージ」では、冷暖房完備のトレーラーハウス内に遊び心をくすぐるロフトスペースを設置。サイトスペース内にはたき火やバーベキューが楽しめるアウトドアリビングがあり、専用シンクを備えるキッチンの上は展望デッキとなっていて、キャンピングガレージハウス同様に100Rを一望できる。

■ オートキャンプサイト

 自然との一体感も味わえる芝生敷きの林間エリアにある「オートキャンプサイト」は、全22サイトでAC100Vの電源コンセントポールを完備。ホットプレートやコーヒーメーカーといった調理器具、扇風機や電気毛布などを使って快適なキャンプを楽しめる。

■ 「富士モーターフォレストの別の場所にもキャンプ場を開設したい」

 オープンに先がけて実施された報道関係者向けの施設内覧会では、開発を手がけた富士スピードウェイ プロジェクト統括部 部長 尾崎重昭氏、Recamp キャンプ場開発 部長 田中篤也氏の両氏から概要説明が行なわれた。

 まず尾崎氏は、RECAMP 富士スピードウェイを開設することになったきっかけを紹介。2002年にSUPER GTを観戦するための来場者が増加したことにより、レース当日の入場待ちをするクルマの待機列が一般道まで長く延びてしまったことで近隣住民に迷惑を掛けてしまう事態になったことから、待機列の緩和案として富士スピードウェイの構内に宿泊してもらう取り組みをスタート。

 24時間レースの開催なども契機となって、レース観戦しながらキャンプを楽しむことも富士スピードウェイの魅力の1つとして定着していき、そこから「もっと気軽にキャンプを楽しみたい」「キャンプ場所を事前にキープしたい」という要望が寄せられるようになったことで、2016年からRecampに協力を要請して、ニーズをどのような形で実現していくべきか試行錯誤するようになったと説明。

 2017年からは大規模レースに合わせてレース観戦とテントなどのキャンプ用品をセット販売する「キャンプヴィレッジ」という取り組みを開始。あらかじめ割り当てスペースにテントが設営され、レース終了後はテントをたたんで持ち帰ることができるというテストマーケティングも行なってきた。

 RECAMP 富士スピードウェイの開設に向けた活動は2022年に始まり、2023年に発表された「富士モーターフォレスト・プロジェクト」ともリンクして、サーキットに足を運ぶレースの観客にとどまらず、モビリティに興味がある人、自然が好きな人など、さまざまな人が集まる場所の中核としてキャンプ場を位置付けていると紹介した。

 また、今後の展望として、今回は初の施設として、富士スピードウェイ内でも象徴的な場所である100Rに「RECAMP 富士スピードウェイ AREA/100R」を開設することになったが、富士モーターフォレスト・プロジェクトの別の場所にもキャンプ場を開設したいと考えており、AREA/100Rでの取り組みをつうじてグランピングやキャンピングカーサイトといった新たなニーズを探って、さらなる発展を模索していきたいと意気込みを語った。

 続いて説明した田中氏は、尾崎氏からサーキット内でのキャンプについて相談を受け、自分でも実際に富士スピードウェイで行なわれた24時間レースの現場でキャンプを行なったが、「こりゃ凄まじい環境だぞ」「こんな場所でキャンプなんて本当にできるのか?」と衝撃を受けた。しかし、その一方で周囲でテントを張ってキャンプとレース観戦を同時に楽しんでいる人が多くいたことから、レースとキャンプの親和性は高いとの確信を得てプロジェクトをスタートさせることになったと述べた。

 富士スピードウェイにキャンプ場を作るにあたり、まずはもともとキャンプを楽しんでいるファンが利用しても納得できる環境を整えることは必須であり、それに加えてこれまでキャンプをしたことがないモータースポーツファンが、キャンプ用品を持っていなくても楽しめるようにする施設にする必要があると考え、この対策として各種トレーラーハウスを用意して、さまざまなスタイルでキャンプを楽しめる施設にしていると紹介。

 モータースポーツファンとキャンパーが、それぞれのカルチャーに触れることによって異なる分野を体験するきっかけになる施設になってほしいという願いをRECAMP 富士スピードウェイに込め、開設に向けた活動に取り組んだと説明した。

 9月20日のオープンに先がけて利用予約の受け付けもスタートしており、現状では一般的なキャンプ場と同様の傾向で、土曜日については先の日程まで予約が集まっているという。逆にこれからは、スケジュールに余裕のある平日の利用をサーキットで体験走行などを行なうモータースポーツファンに訴求して、ほかのキャンプ場とは異なる稼働率の実現を目指していきたいと語った。