セブン、カナダ大手の買収に「不賛同」 企業価値「過小評価」で

AI要約

セブン&アイ・ホールディングス(HD)がカナダのコンビニ大手アリマンタシォン・クシュタールの買収提案に対し、企業価値が過小評価されていると指摘し、提案を却下。

アリマンタシォン側が金額を引き上げても独占禁止法などの課題が議論される可能性あり。

セブン&アイは特別委員会を設置し、提案を精査。アリマンタシォン側の回答を待ち、交渉が長期化する恐れあり。

セブン、カナダ大手の買収に「不賛同」 企業価値「過小評価」で

 セブン&アイ・ホールディングス(HD)は6日、買収提案を受けたカナダのコンビニ大手アリマンタシォン・クシュタールに対し、セブン&アイの企業価値を「著しく過小評価している」などと指摘する書簡を送ったと発表した。セブン&アイは、提案が発行済み株式全てを1株当たり14・86ドル(2000円超)で現金で全株式を取得する内容だったと明らかにした。買収総額は為替相場にもよるが、5兆5000億~6兆円規模になる。

 書簡では、アリマンタシォン側がさらに買収金額を引き上げたとしても、両社が米国でコンビニ事業を行っていることから、独占禁止法などの課題が「適切に考慮されていない」と指摘。「法規制に関する具体的な懸念を払拭(ふっしょく)しえない提案で賛同しかねる」と訴えた。

 そのため、アリマンタシォンの買収提案について、入念な精査と協議を行った結果、取締役会は「株主およびその他のステークホルダーの最善の利益に資する提案ではない」との結論に全会一致で至ったとした。

 セブン&アイからの書簡を受け、アリマンタシォン側は提示金額の上乗せなどを検討するとみられる。今後、セブン&アイはアリマンタシォンからの回答を待つとともに、提案内容の精査を継続する考えで、交渉は長期化する懸念がある。

 セブン&アイは8月19日、アリマンタシォンから「内密に法的拘束力のない初期的な提案を受けている」と買収提案があったことを公表し、速やかに返答する考えを示していた。

 セブン&アイは提案を検討するため、社外取締役で構成する特別委員会を設置。特別委員会の議論をもとに取締役会を開き書簡の送付を決めた。【加藤結花】