なぜTikTokは「ヒットの発信地」になった?「×アニメ」がもたらす「勝ち確」の未来

AI要約

日本のアニメ産業は3兆円市場に成長したが、さらなる発展を目指すには、いくつかの課題を解決しなければならない。TikTokがアニメ産業の持続的発展を支援する取り組みを開始したのも、それが背景にある。

TikTokは日本のアニメにどのような変化をもたらすのか。前編に引き続き、アニメプロデューサーの植田益朗氏とTikTokの日本を含むAPAC地域のコンテンツオペレーションを統括する、TikTok APAC ゼネラルマネージャー 佐藤陽一氏が語り合った。

──TikTokでは最近、「ショートドラマ」などの新しいカルチャーが生まれていますね。

なぜTikTokは「ヒットの発信地」になった?「×アニメ」がもたらす「勝ち確」の未来

 日本のアニメ産業は3兆円市場に成長したが、さらなる発展を目指すには、いくつかの課題を解決しなければならない。TikTokがアニメ産業の持続的発展を支援する取り組みを開始したのも、それが背景にある。TikTokは日本のアニメにどのような変化をもたらすのか。前編に引き続き、アニメプロデューサーの植田益朗氏とTikTokの日本を含むAPAC地域のコンテンツオペレーションを統括する、TikTok APAC ゼネラルマネージャー 佐藤陽一氏が語り合った。

──TikTokでは最近、「ショートドラマ」などの新しいカルチャーが生まれていますね。

TikTok 佐藤陽一氏(以下、佐藤氏):「ショートドラマ」は物語形式のコンテンツです。スマートフォンに適した縦型サイズで、ストーリーが数分で完結するため、特にタイパ(タイムパフォーマンス)に敏感な若年層を中心に人気を集めています。

 ショートムービーは、「長い動画を切り取っただけ」「長い物語のダイジェスト」ととらえられがちですが、そうではありません。ショートムービーだからこそ成り立つストーリー、フォーマット、編集があり、それ自体が1つの独立したコンテンツ形式であって、ある種のイノベーションだと思っています。

 これまで、テレビで放映されるドラマは、30分や1時間が当たり前でした。しかしそれは、見方を変えればメディア側の流通上の都合にすぎません。TikTokのショートドラマは、さまざまなものを極限まで削ぎ落として物語の本質だけを残し、「これでいい」と思わせたところに面白さがあると感じています。

──TikTokのもう1つの特徴として、「つい好きな動画を見てしまう」とよく言われますが、何がそれを作っていると思いますか?

佐藤氏:TikTokのレコメンドシステムはユーザーの皆さんの好みに合わせて動画をおすすめします。加えて、縦型ショートムービーをスマホで見ると心理的な距離がとても近くなるという分析もよく耳にします。テレビのような大きいスクリーンで見ることと手元のスマホで見ることは、まったく違う体験なのです。

 また、コンテンツが次々とTikTokの「おすすめ」フィードに流れてくるので、気持ち的に“構える”必要がないといった分析もあります。レコメンドシステムによく注目いただきますが、決してそれだけではなくて、さまざまな要因があるのが実態だと思います。