日本人の資産形成・資産運用に対する考え方は 世界標準から見ると異質 「世界標準の資産の増やし方 」

AI要約

日本人は貯金が大好きな国民で、貯金を奨励する政策や文化が根付いている。

日本の金融資産の構成は現金預金が主であり、米国など他国に比べて投資意識が低いが、新 NISA制度の導入により変化の兆しも見える。

日本人が金融資産を保有する目的は老後の資金や子供の教育資金、不測の事態への備えなどであり、安心感も重要視されている。

日本人の資産形成・資産運用に対する考え方は 世界標準から見ると異質 「世界標準の資産の増やし方 」

【これはnoteに投稿された花輪陽子(FP@シンガポール、経営者)さんによる記事です。】

世界標準の資産の増やし方: 豊かに生きるための投資の大原則(東洋経済新報社)から、note限定で1章の1-1を抜粋します。

【世界標準の資産の増やし方: 豊かに生きるための投資の大原則】

※ここに貼られていた記事のURLは【関連記事】に記載しています

1 世界でも突出して貯金が大好きな日本人

 日本人は貯金が大好きな国民です。「お金を減らしたくない」「万一の時に 備えておきたい」という気持ちがとても強い人が多いと感じます。働いて稼 いだお金を好きなことに使ったり、投資に回したりするよりも、貯める方が 正しいという教育を社会から刷り込まれてきたこともあります。

 戦後に国を復興させるために預貯金を推奨した制度も高度経済成長期に国 民の貯蓄率向上に一定の役割を果たしました。預貯金を奨励する政策の 1 つ が、少額貯蓄非課税制度(マル優)でした。預貯金や国債などの利子が一定 額まで非課税になるという制度で、現在は一部の対象者を除いて制度が廃止 されています。時代が変わり、NISA(ニーサ・少額投資非課税制度)とい う国民の投資による資産形成を助けるための制度が運用されるようになりま した。これは、貯蓄から投資へというスローガンを、制度面でもしっかりと 担保したという意味で、画期的です。

 日本人の貯金好きはデータでも裏付けがあります。主要国の金融資産のう ちの現金預金の割合を見ると、日本は 54.1%と現金の割合が高い国だと分か ります。ドイツも現金預金の割合は 42.8%と高く、続いてスイス 31.4%、ス ウェーデン 14.4%、米国 13.4%などです(図表 1 - 1)。米国は現金預金の割 合は低いですが、株式投資や投資信託の割合が高くなっています。つまり、 1資産を貯める意識がなく、旺盛な消費文化の結果、預金が少ないという理由 だけではありません。これは、米国が投資をする際に様々な税制優遇を受け ることができる環境も金融資産の構成が異なる大きな理由として考えられま す。日本でも出遅れたものの、新 NISA の非課税限度額の拡大によって制度 が整えられたことで、預貯金から投資への割合が変わる可能性もあります。

 日本人が金融資産を保有する目的としては、「老後の生活資金」「子供の教 育資金」「病気や不時の災害への備え」といった中長期的な目標が動機と なっています。また、「特に目的はないが、金融資産を保有していれば安心」 となんとなく貯めている方も多いようです(金融広報中央委員会「家計の金 融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和 3 年)」)。

世界標準の資産の増やし方: 豊かに生きるための投資の大原則(東洋経済新報社)