【政府、年金世帯等に追加給付金を検討】老齢年金にも《額面》と《手取り》があること、知っていましたか?

AI要約

岸田首相が追加給付金の検討を言及し、家計管理に危機感が高まる中、年金生活世帯や低所得世帯に支給が計画されている。

現役世代の不安や老後資金の重要性に焦点を当て、年金の実際の受給額や老後資金の準備についての意識を示す調査結果を紹介。

公的年金を中心に個人年金や貯蓄を組み合わせる老後の生活設計が一般的であり、年金制度の複雑さや年金からの天引きについても注目が集まっている。

【政府、年金世帯等に追加給付金を検討】老齢年金にも《額面》と《手取り》があること、知っていましたか?

暮らしに必要なモノやサービスの値上がりが続き、多くの世帯が家計管理に危機意識を持たざるを得ないこんにち。こうした現状への対策の一環として、2024年6月21日、岸田首相は記者会見で「追加給付金」の検討について言及しました。

対象は年金生活世帯や低所得世帯などで、秋ごろをメドに策定が進むとのこと。支給対象者やタイミングなどの詳細は未定です。

働き盛りの現役世代の中には「物価高プラス上がらぬ賃金」の中で、いずれやってくる年金生活に漠然とした不安を覚える人もいるでしょう。将来年金はいくらもらえるのか、果たして年金だけで生活していけそうか…。

将来の年金見込み額は「ねんきん定期便」「ねんきんネット」で確認できることをご存じの方は多いと思います。50歳以降は、それまで自分が納付した金額を元にした「見込受給額」を知ることができるので、長期的なマネープランを立てる上での参考になるでしょう。

でも、知っていましたか? その「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」に記載されている年金額は、実は「額面」なのです。

実は、現役時代のお給料から税や社会保険料が天引きされるように、老後の年金からも「天引きされるお金」がいくつかあります。

筆者は日頃、個人の老後資金に関するご相談を数多く受けていますが、この「年金からの天引き」をご存じない方は結構多くいらっしゃいます。

そこで今回は、年金からどんなお金が引かれるのか、今のシニア層が受け取っている年金の平均受給額など、リアルな実態について見てきたいと思います。

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2024年3月、厚生労働省年金局が公表した「生活設計と年金に関する世論調査」では、18歳から70歳以上の各世代の、老後の生活設計や年金に対する意識についてのデータを見ることができます。

「何歳まで仕事をしたいか、またはしたか」という問いには、約39%の人が「66歳以上」と回答。老後の生活設計については、「公的年金を中心とし、これに個人年金や貯蓄などを組み合わせる」が53.8%と最多でした。

「全面的に公的年金に頼る」と答えた人は26.3%。世代別にみると、18~29歳で8.2%、30~39歳で10.4%、40~49歳で16.3%、50~50歳で24.7%、60~69歳で28.5%、70歳以上で43.2%。シニア層ほど高くなっていることが分かります。

●「老後に向け準備したい、またはした公的年金以外の資産」トップは「預貯金(67.6%)

また、「老後に向け準備したい、またはした公的年金以外の資産」のトップは「預貯金」で67.6%。そして「退職金や企業年金」が32.9%、「少額投資非課税制度(NISA)」が20.9%、「民間保険会社などが販売する個人年金」が14.5%と続いています。ちなみに世代別で見ても「預貯金」が全世代でトップとなっています。

また、「少額投資非課税制度(NISA)」は、18歳から29歳では37.6%、30~39歳では42.4% 40歳から49歳では31.0%ですが、その後は50歳~59歳で21.5%、60歳~69歳では14.3%、70歳以上で5.8%にまで下がります。

もちろん老後資金への意識は、年代によっても、そして個人によっても異なります。とはいえ、老後の生活を支える柱は多くの世帯にとって公的年金であることは確かであると言えるでしょう。

国民皆年金の日本。終身わたり受給できる老齢年金は、やはり老後の命綱です。とはいえ公的年金制度の決まりは複雑なものが多く、働き盛りの現役世代が知らないことも結構あります。

年金の意外な盲点ともいえる「年金からの天引き」もそのひとつ。次で丁寧に解説していきます。