「1年間で騰落率が最悪の9月」に日本株を買ってもいいのだろうか

AI要約

8月は史上最大の下げでスタートし、急落に慌てた投資家が売り、底値で買い戻された。9月は投資家にとって最悪な月とされるが、日本とアメリカでは理由が異なる。今年の9月は特に興味深い展開が予想される。

投資家が9月を逆手にとって、チャンスと捉える可能性もある。相場の微妙なバランスが大きな動きを生む可能性があり、注目が集まっている。

日経平均の数字からも見ると、投資家は過去の統計に縛られることなく、状況に応じて判断する必要がある。9月の展開は未知数であり、挑戦的な面を持っていると言える。

「1年間で騰落率が最悪の9月」に日本株を買ってもいいのだろうか

 「史上最大の下げ」でスタートした8月が終わった。日経平均株価を引け値ベースで見ると、7月末が3万9101円、8月末が3万8647円(大阪取引所のミニ先物は3万9050円)だから、「往ってこい」の8月だった。

 ひと言で言えば、急落に慌てたファンドや信用取引の追証に迫られた個人投資家が底値で売り、余裕のある個人投資家や企業の自己株買いが底値を拾った出来事が、月のスタート時点で起こっただけだったということになる。波乱の原因は今まで本欄でも書いてきたので、ここでは繰り返さない。

■9月は投資家にとって「最悪」? 

 さて、商品相場では荒れるといわれる「2日新甫」(市場の月のスタートが2日のこと)の9月が始まる。2日の取引が荒れるかどうかはわからない。だが、日経平均の1年間の月間騰落率をみると9月は12カ月の中で最悪だ。これは9月が、3月期本決算の多い日本企業が第2四半期末(中間決算)をまとめる月であり、決算事情を含めて企業活動が低調になるからと言われる。

 一方、12月本決算企業が多いアメリカでは、この期は多くの企業にとって第3四半期となるわけだが、不思議なことにNY(ニューヨーク)ダウ工業株30種平均も、同様に9月が最悪月だ。

 こちらのほうは、ファンド運用の決まりで、顧客が運用の解約か再契約かを通知する45日ルール(最近はかなりランダム)を前にしたポジション調整(悪いものを切り捨てる)のためと言われる。これが有名な格言「セル・イン・メイ」(「5月に売って、9月に買え」の後半部分が省略されて使われている)の元データにもなっている。

 今年はどうだろうか。あらためて5月の日経平均を振り返ってみると、21立会日の終値の平均値は3万8557円だった。ということは、5月に売って暴落した8月5日に買い戻せば大きな利益が出たわけだが、それは終わってから見た数字の遊びにすぎない。

 冒頭に書いたとおり、8月末の日経平均は3万8647円だ。持続していれば今は5月とほとんど同水準で、成果は9月を待つということになる。

 もし9月が最悪だという統計を逆手にとって、下がればチャンスとみて買われるのなら、下がらないばかりか、高くなることだってある。とくに今年の9月は日米の相場とも、景気動向とそれに対する金融政策の舵取りが難しく、微妙なバランスの中にある。わずかな振れで相場が大きく動く可能性もあり、私は近年で最も面白い9月になると思っている。