家業を全く知らないからこその再発見 親と衝突不可避でも進めた3代目のリブランディング

AI要約

ホクシアは、家業を継ぐために戻ってきた3代目の安孫子大輝さんが、一貫体制の強みを見出し、リブランディングを行い採用希望者が急増したエピソード。

創業からの歴史や事業変遷、現在の事業内容や拠点、従業員構成など、ホクシアの概要。

安孫子さんが祖父から受けた影響や、銀行勤務中にモヤモヤ感を抱いた経緯、ヒマラヤ登山を経て家業に参入する決意までのストーリー。

家業を全く知らないからこその再発見 親と衝突不可避でも進めた3代目のリブランディング

 ホクシア(山形県山形市)は、1962年に北進木工として創業。首都圏・東北を中心に新築マンション向けの据え付け収納家具を自社で企画・設計・製造・設置までを行う一貫体制を整えている会社です。現社長の長男で、3代目の安孫子大輝さん(31)が銀行から家業に戻ってくると、非効率と思われていた一貫体制にこそ、自社の強みがあると発見します。そこで、自社サイトづくりとともにリブランディングに取り組みました。アトツギ甲子園への出場やメディア露出に合わせたなども奏功し、採用希望者が一気に増えるといった効果が生まれています。

 ホクシアは1962年に北進木工として創業し、2023年に現社名に変更しました。

 当初は各地の家具店向けに自社開発の本棚、食器棚、飾り棚などの一般向け家具製造を手掛けていましたが、その後住宅設備機器メーカーのシステムキッチンなどのOEMメーカーに変遷。

 現在はオーダー家具メーカーとして、東北、関東を中心にデベロッパー、ゼネコン向けのオリジナル製品を企画、設計、製造、取付工事に至るまでを一貫して提供しています。

 ワンルームタイプから高級タワーマンションまで幅広く手掛け、家具の製作数は年間約6000戸分。

 現在は山形県山形市、神奈川県横浜市、フィリピンダバオの3つ拠点で、従業員数38人、従業員の平均年齢数33.4才と若手社員が多く活躍している会社です。

 ホクシアの代表取締役社長の長男で、取締役事業創造イノベーション推進室長の安孫子大輝さん(31)は、6年前に家業に入った3代目後継ぎです。

 「父は家庭で仕事の話をしなかった。だから、うちは家具屋さんという程度の認識しかなかったのです」と安孫子さん。

 しかし、幼稚園の時に、祖父から会社に連れて行かれた時にある衝撃を覚え、幼いながらに会社を意識する1つのきっかけが出来たそうです。

 「会社にすずめがいるから見に行くぞと連れて来られたのに、なぜか社長室の大きな椅子に座ってみろと言われて・・・ドキドキしながら座ってみました。

 今も鮮明に覚えているので、会社という存在を意識し始めた大きなきっかけだったのだと思います。そして、僕に家業に興味を持ってもらうための祖父の作戦だったのかもしれません」と満面の笑顔で話します。

 安孫子さんは東北大学の経済学部を卒業後、東京の大手銀行に就職し、法人営業部に希望配属。

 転機は、ある日何気なく創業者の祖父から言われた「家業というのは事業を通して、世の中に幸せを広めていくためにある」という言葉でした。

 この言葉が、安孫子さんの心にモヤモヤした何かを芽生えさせます。

 このモヤモヤが「後を継ぐという決意」だったことに気が付いたのは、まさかのヒマラヤの地でした。

 「ヒマラヤ登山をして、山脈の壮大な景色を目にした時に、心の中にあったモヤモヤが一気に晴れました。俺は何を小さいことに悩んでいるんだ、思い切って家業で挑戦しようと」という直感を信じたと安孫子さん。

 家業を継ぐために、山形に戻ってきたのが6年前です。