「私は責任感のある人間です」では落とされる…学歴も能力も問題ないのに採用試験で不合格になる人の共通点

AI要約

就活生と人事の間には、就活の目的や企業選びに対する考え方の違いがあります。第一志望の企業が必ずしも最適とは限らず、合わない企業に入ることで苦労する可能性がある。

企業が求める人物像を理解するためには、OB訪問や面接で逆質問をすることが重要である。コミュニケーション能力や主体性など、企業が重視する能力を具体的に聞いて理解を深めることが大切である。

逆質問の際には、具体的な質問をすることで抽象的な回答を避け、より具体的な情報を得ることができる。逆質問の時間を有効活用することで、自分に合った企業を見つける手助けになる。

面接試験で受かる人とうまくいかない人は何が違うのか。東大カルペ・ディエム『一流企業の入社試験』(星海社新書)より、人事コンサルタントの曽和利光さんへのインタビューの一部を紹介する――。(第2回)

■人事コンサルが見た「就活生があまり理解していないこと」

 ――就活や入社試験について、就活生と人事では見え方が異なる点もあるかと思います。就活生が持っている幻想と人事が見ている現実の間にはどのようなギャップがありますか。

 【曽和】就活生があまり理解していないのが、就活生にとって就活は「自分と合う、自分が活躍できる企業を見つける場」だということです。

 第一志望の企業に入るための努力は確かに大切ですが、入社試験を受けていくうちに「この企業は自分に合わないな」と感じることもあります。そういう場合、第一志望の企業が最善の選択肢とは限りません。頑張って入社できたとしても、その企業の環境や仕事内容は向いていないかもしれませんから。

 個人的な経験ですが、私は高校受験で関西の名門校・灘高校に合格したものの、いざ入学してみたら周囲の学生のレベルの高さに驚いて自信を失ってしまった経験があります。それだったら、ただ偏差値の高い学校に行くばかりが正解ではなく、地元の国公立高校に入って成績トップとしてやっていた方がよかった、という可能性もありますよね。

 私の高校時代のようなケースでは、自分がレベルの高い集団に入って引き上げられるタイプなのか、勝てる環境に入って活躍するタイプなのかを知った上で進路を選ぶことが、よりよい未来につながります。就活でも同じです。合わない企業に無理して入っても、入社後に苦手な能力を要求され続けるのはつらいですから。

■これで「企業の求める人物像」がわかる

 ですから、この本のような入社試験問題を解いてみて苦手だと感じた就活生の方がいたら、無理にコンサルティング業界などでの就活にこだわりすぎず、少し考え方を変えてみて、論理的思考力がそこまで必須ではない別の業界を視野に入れることが将来的な幸せにつながるかもしれません。

 ――では、企業側が求める人物像を就活生はどこから見つけることができるのでしょうか。

 【曽和】ほとんどの企業が、求める人物像について「コミュニケーション能力」「主体性」「挑戦心」「協調性」「誠実性」のキーワードを掲げているので、正直わかりにくいですよね。これは企業側がもっと噛み砕いて説明するべき事項だと思います。

 現実的な話をすると、企業の求める人物像を就活生が理解するためには、OB訪問や面接の逆質問を使うのがおすすめです。

 例えば、コミュニケーション能力といっても傾聴力や交渉力、表現力、調和力などいろいろなベクトルがありますが、その企業はどれを重視しているのかを聞くことで、より理解が深まって周囲との差をつけられます。

 また、企業ごとの仕事内容からも求める人物像を類推できます。一般的な仕事内容のイメージから、広告代理店ならコピーライティングを考えたりしますから好奇心旺盛でクリエイティブな思考が得意な人が必要そうですし、生命保険会社なら新規性よりもまずは既存の業務をしっかり安定的に遂行できる、誠実性のある人が求められそうだと想像できますよね。

■逆質問ではこんなことを聞くといい

 ――入社試験からは少し離れてしまいますが、逆質問では何でも聞いていいのでしょうか。自己アピールの場だとばかり考えていました。

 【曽和】逆質問の時間は、企業側が就活生に対して「就職したい」と思ってもらうための動機づけの場でもあるので、基本的に何でも聞いてしまって大丈夫です。その上で、できれば具体的な質問をするのがおすすめです。

 企業理念といった抽象的な質問に対しては、答えも抽象的なものになってしまいがちですが、「御社で活躍する人はどんな人ですか?」というように回答者が実体験を思い浮かべながら話せる質問をすると、より具体的な回答が返ってきて理解が深まりますよね。