あなたは「日本に傘が何本あるか」を即答できるか…外資系コンサル会社の入社試験で実際に出た超難問の攻略法

AI要約

フェルミ推定とは、論理的に大まかな推定値を導く方法であり、入社試験での問題解決に活用される。

フェルミ推定を学ぶことで論理的思考力が養われ、一流企業の入社試験での合格につながる。

具体的な数字や推定値を覚えることが重要であり、解く問題に応じて適切なアプローチを使いこなすことが求められる。

会社の入社試験で「日本に傘は何本あるか?」と出題されたら、どう答えればいいのか。東大カルペ・ディエムによる『一流企業の入社試験』(星海社新書)より一部を紹介しよう――(第1回)。

■なぜ一流企業の入社試験で「フェルミ推定」が出されるのか

 「フェルミ推定」について、具体的な入社試験問題を例にしつつ解説していきます。フェルミ推定とは、実際に調査や計測をすることが難しいデータに対して、前提条件や調査できる範囲の情報をもとに、論理的に大まかな推定値を導くことです。

 フェルミ推定はビジネスの現場でも大いに活用されていますが、就職活動の際に実施されるフェルミ推定では、解く人の論理的思考力が評価されます。

 「御社で働きたい」と、どれだけすばらしい志望動機があっても、論理的思考力がないと実際の仕事ができませんよね。そのため、企業は入社試験でフェルミ推定の問題を通じて思考力を問うのです。

 「フェルミ推定って苦手なんだよな」という人にこそ、ぜひ本章の問題を通じて、たくさんの経験を積んでもらいたいです。フェルミ推定は問題を繰り返し解くことで、力をメキメキと伸ばすことができるからです。

 ちなみに、実際に入社試験で出題された問題には、次のようなものがあります。

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2020年度のアルコール除菌関連の売上高を推定せよ(EYストラテジー・アンド・コンサルティング、外資系総合コンサル企業)

ある居酒屋の一日の売上を推定せよ(ベイン・アンド・カンパニー、戦略系コンサル企業)

現在のEV普及率を推定せよ(アクセンチュア、IT企業)

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■「覚えておきたい数字」一覧

 これらの問題を解くにはズバリ、フェルミ推定に慣れておく必要があります。数をこなすことで、

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①フェルミ推定を解くにあたって覚えておきたい数字が頭にインプットされる

②さまざまなアプローチを使いこなせるようになる

③問題の前提を客観的に設定でき、解答の精度が上がる

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 など、フェルミ推定の要点が自然に身につくようになるのです。それでは実際に問題を一緒に解きながら、フェルミ推定を解くためのアプローチ方法を学んでいきましょう!

 その前に、フェルミ推定でよく使う「覚えておきたい数字」の一覧をまとめておきましたので、これらのデータを頭に入れた上で問題に臨んでください。

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フェルミ推定で覚えておきたい数字一覧

〈日本〉

人口:1.2億人(2050年:1億人、2060年:9000万人)

平均寿命:84歳

世帯:5000万戸

平均世帯人数:2.5人

国土面積:38万平方キロメートル(山地:70%、平地:30%)

企業の数:340万社(大企業:1.4万社、中企業:50万社、小企業:290万社)

生産年齢人口:7000万人

〈世界〉

人口:80億人(2050年:95億人、2100年:110億人)

地球の直径:12000km

地球の円周:40000km

地球の表面積:5億キロ平方メートル(海:70%、陸:30%)

※いずれも概数

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■実際に外資系コンサルで出された問題

 日本に傘は何本あるか? 難易度:★★★☆☆

 日本は傘の所有本数、ビニール傘の消費量が世界一です。それには日本の降雨日数が多いことが影響しているとも言われています。

 さて、日本全国に傘はどれくらい存在するのでしょうか。

 考え方

 日本に存在する傘は、個人が所有しているものと店頭で販売されているものの2種類があります。個人が所有する傘と店頭で販売される傘の2つに場合分けし、それぞれの数について考えていきましょう。

 紛失物としての傘も存在しますが、一度購入してから紛失していることを考慮し、今回は個人の所有物として計算します。

 はじめに、個人が所有している傘の本数からみていきましょう。傘の所有本数=日本の人口×傘の所有率×1人あたりの平均所有本数で求められます。日本の人口はおおよそ1.2億人です。

 ここで、傘の所有率と平均所有本数がわかれば傘の本数が求められるわけですが、より精確な数値を推定するため、傘の種類を分類して考えましょう。