トヨタ豊田章男会長、モータースポーツに携わる「かっこいい大人たちの姿」を富士の夏祭りで子供たちに披露

AI要約

2024年に開催されたTGDA夏祭りは、2019年以来のリアルイベントであり、豊田章男会長の思いやトヨタGTドライバーとファンの交流を重視したイベントだった。

豊田章男会長は、富士スピードウェイでのイベントを通じて、子供たちにモータースポーツの素晴らしさやかっこいい大人たちの姿を伝えたいという思いを示している。

イベントでは豊田章男会長もドライバーとして参加し、熱心なファンサービスを行い、ファンやキッズに楽しい一日を提供した。

トヨタ豊田章男会長、モータースポーツに携わる「かっこいい大人たちの姿」を富士の夏祭りで子供たちに披露

■ 2019年以来のリアル開催となった「TGDA夏祭り2024」

 8月17日、富士スピードウェイにおいてトヨタGTドライバーがファンとの交流を図る「TGDA夏祭り2024」が開催された。このイベントは毎年夏にMEGA WEBで開催されていたが、コロナ禍のために2019年以降はお休みとなり、昨年は復活したもののバーチャルでの開催となっていた。2024年は2019年以来のリアル開催となり、場所も富士スピードウェイに変更して実施。富士モータースポーツフォレストとして拡張中の、富士スピードウェイ ウェルカムセンター、ショートサーキット、ピットビルのクリスタルルームと屋上を使った大規模なものとなっていた。

 TGDA(TGR GT Drivers Association)という名前が示しているように、この夏祭りはトヨタGTドライバーの思いから始まったイベント。戦いの場であるレースにおいては、ファンとの交流もある程度限られ、またドライバーは戦闘モード(ま、そこがいいのだが)。もっとリラックスした雰囲気で、ファンとのふれあいを楽しんでもらおうというものだ。そのドライバーの思いにTOYOTA GAZOO Racingが共感する形で運営されている。

 2024年の富士スピードウェイのオープニングでは、トヨタ自動車 代表取締役会長である豊田章男氏があいさつ。大嶋和也選手がTGDA会長となった経緯を紹介しつつ、「今日の我々のミッションは、ここに来ているすべてのファンの方をより笑顔にして、モータースポーツを好きになってもらうこと。そしてドライバーや、レースアンバサダーにさらに興味を持ってもらう。エンジニアにもメカニズムも興味を持ってもらうこと、レースはみんなで支えてると思います」と、イベントの目的を明確に説明。

 監督についても興味をもってねと言及した後、トヨタGTドライバーに向け「(お客さまを)笑顔にしファンにしてもらえるなら何をやっていただいても結構です。あとは謝罪担当の私がおりますから安心して、安心して、みなさんを笑顔にするお力をお借りしたいと思いますので、よろしくお願いします」と希望した。「謝罪担当」の一言でオープニングイベントに集まった380人のファンから笑いを得るなどさすがのあいさつだったが、「すべてのファンの方をより笑顔に」や「レースはみんなで支えてる」というのは、豊田章男氏の本音の思いになる。

■ 「かっこいい大人たちの姿」を見てほしいという豊田章男会長の思い

 富士スピードウェイは、富士モータースポーツフォレストとして拡張のさなかにあるが、この拡張の背景には豊田章男会長のある思いがある。豊田会長は、富士スピードウェイ内にあるルーキーレーシングのガレージ竣工式で「私は10歳の誕生日を、ここ富士スピードウェイで迎えました。父が第3回日本グランプリに連れてきてくれたからです。プレゼントの中身は走り抜けるかっこいいクルマとうるさいエンジン、そしてクルマをいじるかっこいい大人たちの姿でした。このガレージには、見学に来た子供たちにメカニックの作業をよく見てもらえるような工夫がちりばめられております。10歳の私が感じたように、子供たちの記憶に残るクルマの原体験をしてもらいたい」とあいさつしており、モータースポーツに携わる「かっこいい大人たちの姿」を見てもらうためにフォレスト構想を進めてきた。夏祭りではキッズ向けのコンテンツが多数用意されており、子供たちにかっこいい大人たちの姿を見てもらうよい機会になったと思われる。

 そのためかどうかは分からないが、豊田章男会長はモリゾウ選手として夏祭りにがっつり参加。ショートサーキットで行なわれるファンとの同乗走行にドライバーとしての参加を発表すると、ファンから多くの拍手をもって迎えられていた。

 そして、実際の同乗走行セッションでは走り慣れたGRヤリスのラリーセッティングのラリチャレ号を持ち込んでおり、4周+5人という同乗走行を実施。走行開始直後にドーナツターンを披露するなど、ノリノリの同乗走行を行なっていた。あまりにノリノリなためラリチャレ号のタイヤが減りまくり、同乗走行中に2度のタイヤ交換も実施するなど、大サービスの同乗走行となっていた。

 当日は、スマートウオッチの気温で35℃の猛暑。その中でレーシングスーツをビシッと着込み、ヘルメットもラリー用を装備。さらにモリゾウ選手は同乗走行前と後にしっかりあいさつをし、集まったファンをしっかり盛り上げる。記念写真に応え、モリゾウステッカーも配布と、世界でもトップクラスの自動車会社の会長がクルマの楽しさを全身で伝える。もちろん会長自身がファンサービスに徹しているため、GTドライバーはそれ以上にファンサービス。

 TOYOTA GAZOO Racingによると、当日イベントに訪れた人は速報値で3500人。サイン会やトークショーなども多数行なわれ、レースの緊張感とは異なる大満足の一日になっていたのではないだろうか。そしてモリゾウ選手やトヨタGTドライバーの思いは、ファンやキッズにしっかり伝わっていたように思える。