カーナビの「盗難防止機能」が近年やたらと進化している理由

AI要約

カーナビの車両盗難防止機能が進化している背景として、GPS技術の向上が挙げられる。

遠隔操作によるエンジン停止や位置特定が可能になり、盗難被害の軽減につながっている。

車両盗難のリスクが低減され、ユーザーの安心感が増している。

カーナビの「盗難防止機能」が近年やたらと進化している理由

 近年、カーナビの車両盗難防止機能が著しく進化している。その原因は、近年カーナビ盗難数の増加が深く関わっている。

 2023年3月にウェブクルーがおこなったアンケート調査によると、

・車両盗難

・車上ねらい(車上荒らし)

・部品ねらい

・いたずら

など何らかの被害に遭ったことはあると回答した人は、全体のおよそ24%にのぼった。

 また、「車上荒らしなどの対策をしているか」という質問に対し、約4割が対策済みと回答。具体例としては、

・ドライブレコーダーを設置

・イモビライザーの使用

などが挙げられた。

 そんななか、近年ではカーナビ本体に車両盗難防止機能が備わっており、防犯機能が向上しているのだ。そこで本稿では、カーナビにおける車両盗難防止機能について詳しく掘り下げていく。

 まず、カーナビの車両盗難防止機能が向上した要因のひとつに、GPS技術の向上が挙げられる。

 もともとGPSは、米国が運用する衛星測位システム(Global Positioning System)を指す言葉であり、軍用目的として開発された。1980年代ごろから民間利用が解禁され、少しずつ普及していった。しかし当初からGPS単体では全世界をカバーできるほど精度はなく、場所特定が困難な場合があった。

 ところが近年では、米国のGPSに加え、ロシアのGLONASS、中国のBeiDou、欧州委員会のGalileoで組み合わせて観測する、全世界衛星測位システム・GNSS(Global Navigation Satellite System)を採用したことで、精度が大幅に向上。これにより、盗難車両がどこにいても、より正確に追跡することが可能になった。

 さらに、GPSを用いて遠隔操作によるエンジン停止や位置特定が可能になったことも、盗難被害の軽減につながっている。従来のカーナビでは、盗難発生後に警察に通報するしかできなかったが、近年では遠隔操作でエンジンを停止したり、盗難車両の位置情報を警察に送信したりできる機能が搭載されている。

 ちなみに同技術は、自動車をローンで購入したユーザーの支払いが滞っているときに、ローン会社が遠隔操作でエンジンを停止したり、車両の移動を制限したりすることにも活用されている。

 以上のように、カーナビの車両盗難防止機能は、GPS技術やGNSSの進化、遠隔操作技術の導入などにより大幅に向上した。これにより、車両盗難のリスクが低減され、ユーザーの安心感が増している。