PS5が失速、事業構造の見直しを進めるソニーのゲーム事業

AI要約

2025年3月期にソニーのゲーム事業は減収を見込んでおり、主力のPlayStationの販売不振と円安の押し上げ効果切れが要因です。

ソニーは900人の社員削減を計画し、利益率改善を目指しています。売上は円安要因により増加してきましたが、2025年は減収となる見込みです。

取材・文/不破聡

PS5が失速、事業構造の見直しを進めるソニーのゲーム事業

力強く成長していたソニーのゲーム事業に変調が訪れました。2025年3月期は減収を見込んでいるのです。2期連続で2桁増収を続けていましたが、トーンダウンすることになります。

要因は大きく2つあります。1つは主力のPlayStationの販売が思うように伸びていないこと。もう1つは円安の押し上げ効果が切れつつあることです。

ソニーはこの逆境を乗り切ることができるのでしょうか?

ソニーのゲーム事業である、ゲーム&ネットワークサービス2024年3月期の売上高は、前期比17.1%増の4兆2677億円、営業利益は同16.1%増の2902億円でした。

2025年3月期は、売上高を前期比1.6%減の4兆2000億円、営業利益を同6.8%増の3100億円と予想しています。減収、営業増益予想です。

ソニーはゲーム事業において、社員の8%にあたる900人を削減する計画を立てています。ヨーロッパ、日本、アジアなどの各地域を対象に人員削減を進めるのです。経営陣はリストラ効果として、二桁後半億円の構造改革費用を計上。しかし、それをある程度上回るコスト改善効果を見込んでいると説明しており、利益率は若干改善する見込みです。

売上推移に着目すると、2023年3月期は前期のおよそ1.3倍、2024年3月期は1.2倍に拡大しました。増収に寄与しているのが円安。

2023年3月期のゲーム事業の売上高は、前期よりも9048億円多くなっています。このうち、為替要因は4198億円。半分近くが円安による押し上げ効果でした。

2024年3月期の売上高は、前期のプラス6231億円。為替による影響は2789億円。4割以上が円安要因によるものです。

後編では、この状況でソニーはどんな手を打っているのか考察していきます。

取材・文/不破聡