日本株暴落! 日経平均の下落幅歴代1位! 暴落の要因は円高にあり! 日本経済は脆弱で日銀は利上げをやめるべきだ。投資家がここから取るべき道は?

AI要約

日本株が暴落し、日経平均は歴代1位の下落幅を記録。

主な要因は為替にあり、日銀の利上げとFRBの利下げ観測が円高を招き、株価を下落させた。

投資家は分散投資の重要性を再認識し、個別銘柄に注目すべき。

日本株暴落! 日経平均の下落幅歴代1位! 暴落の要因は円高にあり! 日本経済は脆弱で日銀は利上げをやめるべきだ。投資家がここから取るべき道は?

●日本株暴落!  日経平均の1日の下落幅はブラックマンデーを超え、歴代1位に! 

 日本株が暴落しました。

 特に8月5日(月)の下げはすさまじく、日経平均の1日の下落幅は1987年のブラックマンデーを超え、歴代1位となりました。下落率でも歴代2位というレベルです。

 この動きで、TOPIXは2023年10月のレベルに戻り、為替も米ドル/円は2024年1月のレベルに戻りました。

●日本株暴落の主な要因は為替にあり! 

 今回の日本株暴落の主な要因はどこにあるでしょうか? 

 私は為替が主な要因だと思います。

 日銀の利上げとFRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ観測による円高に伴って、今回の日本株暴落は起こりました。

 本連載でも触れてきたとおり、私はこれまで日本株が上昇してきた要因として、そもそも為替の影響が大きいと考えてきました。

[日本株上昇要因に関する参考記事]

●多くのメディアが挙げる日本株上昇の理由は誤りだ。バフェットの日本株投資は関係ない!  日本株上昇の真の理由とは? 

 7月上旬まで日本株は上昇してきましたが、全体的に見て、構造改革などの本質的な変革はそれほど進んでおらず、日本株上昇の裏付けは弱いものでした。日本株上昇はもともと為替の円安という脆弱な要因に基づくところが大きかったのです。

 そして、このたびは円高によって、海外の投機資金が円買い・日本株売りに一気に転じ、株価は暴落しました。

●日銀はまだわずか0.25%への利上げをしたばかりだが、もう利上げをやめるべきだ。けれど、日銀は失策を犯すかもしれない

 この市場の反応を見ると、日本経済は円高と高金利に耐えることができないことがよくわかります。以前の本連載で、私は、日本は高金利に耐えられないため、円安を為替介入や利上げによって防ぐことはできないと書きました。そういったメカニズムはまだ残っていると思います。

[参考記事]

●激変する為替に、日本経済の地殻変動が表れている!  今まで大丈夫だった日本国の借金増大が今後問題に。ネズミ講にも似た動きが日本で起こり始めている!? 

 確かに162円近辺まで上昇していた米ドル/円は、財務省による為替介入や日銀の利上げなどによって反落し、一時、141円台をつけるまで円高が進みました。

 しかし、それに伴って日本株が暴落したことで、日銀はまだわずか0.25%への利上げをしたばかりというのに、さらに利上げを進めていくことを疑問視するムードが出てきています。

 アメリカはこれから利下げしようとしていくステージにあり、さらに日本経済は脆弱なのですから、日銀がこれ以上の利上げを進めづらいのは当然です。

 私は日銀は利上げをやめるべきだと思います。しかし、日銀が必ずそうするとは限りません。日銀の失策により、日本経済が悪化した例は過去にも多くあります。

 たとえば、90年代にバブルが崩壊したあとのハードランディングは、ある意味、日銀の失策によるものです。

 今回は当時のバブル崩壊ほどの影響はないと思いますが、しかし、失策かもしれません。

●なぜ、日銀は今回、利上げしたのか?  金融株の大きな下落が意味することとは? 

 なぜ、日銀は今回、利上げしたのでしょうか? 

 それは日本でインフレが進んだことに対して、プレッシャーがあったのだと思います。しかし、今回の市場の反応を見ると、実体経済への影響も考慮して、バランスをとらなければならないと日銀は理解することでしょう。

 今回の日本株の下げをセクター別に見ると、一番下がっているのは金融株です。

 今回は金融危機につながるわけではありませんが、金融株は実体経済と国内経済に密接に関連している銘柄です。これは、国内経済がこの利上げと円高によって悪化すると市場が見ていることを示しています。金融株の下落が実体経済を悪化させる効果もあります。

●日本株暴落後の今、投資家はどうすればいいのか? 

 では、結局、投資家はここからどうすればよいのでしょうか? 

 この下落で、分散投資の重要性が再認識されることでしょう。米国株や世界株は日本株ほど下落しませんでした。

 また、日本株全体は暴落しましたが、その中にはおもしろい個別銘柄もあるかもしれません。このような暴落時にはそのような個別銘柄に注目すべきです。しかし、日本経済には構造的な課題がまだ多く残っていることには注意が必要だと思います。

 ●ポール・サイ ストラテジスト。外資系資産運用会社・フィデリティ投信にて株式アナリストとして活躍。上海オフィスの立ち上げ、中国株調査部長、日本株調査部長として株式調査を12年以上携わった後、2017年に独立。40代でFIREし、現在は、不動産投資と米国株式を中心に運用。UCLA機械工学部卒、カーネギーメロン大学MBA修了。台湾系アメリカ人、中国語、英語、日本語堪能。米国株などでの資産運用を助言するメルマガを配信中。