62歳で夫が死亡。年金の「受給前」だったけど、これまで払った保険料はどうなる?“妻が受け取れるお金”について解説

AI要約
老後の備えとしての年金について年金受給前に死亡した場合の取り扱い残された妻が受け取る可能性のある年金や一時金について
62歳で夫が死亡。年金の「受給前」だったけど、これまで払った保険料はどうなる?“妻が受け取れるお金”について解説

老後の備えとして頼りになる年金ですが、中には年金受給前に死亡してしまう場合もあります。年金は毎月保険料を支払っているので、受給前に死亡してしまうと、元を取れなかったように感じるかもしれません。

そのような場合には、「支払った分は残された妻である自分が受け取れるのでは?」と思う人もいるでしょう。

本記事では62歳の夫が年金受給前に亡くなった場合、これまで払った保険料がどうなるのか、残された同じ年齢の妻は夫の年金を受け取れるのか解説します。

普段意識することはあまりないかもしれませんが、若くして亡くなる人も一定数存在します。

厚生労働省の「令和5年(2023)人口動態統計月報年計(概数)の概況」によると、60~64歳の年齢階級において、死亡数は4万1942名で、人口10万人当たりでは566.5名です。割合的には低いかもしれませんが、毎年かなりの人が年金受給前に亡くなっていることが分かります。

夫が年金を受け取る前に亡くなってしまった場合でも、過去に支払った保険料は原則として返ってきません。例外として、次の場合には保険料が還付されます。

●国民年金保険料を前納していた場合

●口座振替・クレジットカード納付などで死亡日の翌日が属する月以降の国民年金保険料の振替処理が完了している場合

該当する場合には、日本年金機構から届く案内に沿って還付の手続きをおこないましょう。

夫が支払った保険料は原則として返っては来ませんが、残された妻は要件を満たしていれば「遺族年金」「寡婦年金」「死亡一時金」といった年金や一時金を受給できます。それぞれの概要や受給要件を確認しましょう。

<遺族年金>

遺族年金は、国民年金・厚生年金保険の被保険者や被保険者であった人が亡くなったときに、遺族に支給される年金です。今回のケースでは、夫が会社員だった場合には遺族厚生年金と遺族基礎年金を残された妻は受給できる可能性があります。

遺族厚生年金は、基本的には妻が夫に生計を維持されている場合に受け取れます。一方、遺族基礎年金は原則として18歳未満の子どもがいる場合に受け取れる年金です。

<寡婦年金>

寡婦年金は、死亡日前日時点で国民年金第1号被保険者としての保険料納付済期間と保険料免除期間が合計10年以上ある夫が亡くなったときに、妻が60歳から65歳になるまでの間、支給される年金です。今回のケースでは妻が62歳ですので、数年間は受給できます。

なお、寡婦年金の受給要件として、「事実婚を含む婚姻関係が10年以上継続している」「死亡当時に夫に生計を維持されていた」「妻が繰上げ支給の老齢基礎年金を受けていない」などがあります。

<死亡一時金>

死亡一時金は、死亡日の前日時点で国民年金第1号被保険者としての保険料納付月数が36ヶ月以上ある人が、老齢基礎年金や障害基礎年金を受給せず亡くなったときに、同一生計の遺族に支給されます。

なお、遺族基礎年金の支給を受けられるときには支給がなく、寡婦年金を受けられる場合には死亡一時金と寡婦年金のどちらか一方しか受給はできません。

夫が年金受給前に亡くなった場合、基本的には支払った保険料は返ってきません。とはいえ、条件を満たせば年金や一時金を受給できます。

遺族年金の支給条件や受給額の計算はやや複雑な場合もありますので、気になる人は年金事務所などに確認しましょう。

出典

厚生労働省 令和5年(2023)人口動態統計月報年計(概数)の概況

日本年金機構 遺族年金

日本年金機構 寡婦年金

日本年金機構 死亡一時金

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

ファイナンシャルプランナー