日経平均「大反発」でも「今後も下がり続ける」、たった1つの理由

AI要約

東京株式市場は8月5日に歴史的な大暴落を記録し、日経平均株価は過去最大の下落幅となった。しかし、その後は一時的な反発があったものの、株式市場には厳しい逆風が続く見込み。

暴落の引き金は、日銀の基準金利引き上げや米国の利下げの可能性など、円高を招く要因があった。これによって円相場が急速に上昇した。

この株価の暴落により、NISA投資家や投機家などが影響を受け、日本社会に不安が広がっている状況がある。

日経平均「大反発」でも「今後も下がり続ける」、たった1つの理由

 8月5日、東京株式市場は歴史的な大暴落を記録した。日経平均株価は4451円28銭も下落し、1987年のブラックマンデーを超える衝撃となった。そこから一転、一夜明けた6日の東京株式市場は一時、3400円以上の大幅反発になり、一安心という人もいるだろう。しかし、今回の大暴落につながった引き金をひもとくと、今後も東京株式市場には厳しい逆風が吹き続ける「真因」が見えてくる。

 8月5日の東京株式市場は、取り引きが始まった直後からほぼ全ての銘柄が値下がりする「全面安」の状況に陥った。日経平均株価の5日の終値は、先週末の終値よりも4451円28銭も下がり、3万1458円42銭となった。

 この下落幅は、1987年に世界中で株価が大幅に下落した「ブラックマンデー」の翌日に記録された3836円48銭を上回り、過去最大の下落幅となった。

 東証プライムの値下がり銘柄数が1625と全体の98%を超え、値上がりしたのはわずか14銘柄だった。台湾、韓国、インド、オーストラリア、香港、上海の株式市場も、日経平均に引きづられるようにすべての市場で暴落を喫した。

 暴落した日経平均株価について、鈴木財務俊一大臣は「緊張感をもって注視する」として、「新NISAは長期・積立・分散投資の重要性を考慮して冷静に判断をしていただきたい」と呼びかけ、動揺が広がらないようなコメントを発表したが、日経平均株価は今年これまでの上昇分をすべて消し去り、年初来でマイナスとなった。

 新NISAで日本株への投資を始めた人、値上がりが続いていた日本市場に投機(ギャンブル)的な投資をしていた人が一定数いるとみられ、日本社会に動揺が広がっている。ネット上では、「新NISA勧めた政府に騙された」といった怨嗟の声も聞かれた。

 今回の株価の暴落について、原因はさまざま語られているが、大きくは2つだ。

 1つ目。今回の暴落を「植田ショック」と呼ぶ人は多い。これは、先月(7月)31日に、日銀が基準金利を0.25%程度まで引き上げ、日本国債の買い入れを縮小することを決定した。さらに、植田和夫日銀総裁がさらなる利上げの可能性に言及したことだ。日本の景気はそこまで良くないのに、なぜ利上げを急いだのだ…と言っても後の祭りなのだろう。

 その後、間も無くして、米国のFRB・連邦準備制度理事会のパウエル議長が会見で、早ければ9月の会合で利下げが決定される可能性があると発言した。

 この2人の人物によって、これまで円安の主因だった、日本の低金利、米国の高金利が一気に解消へ向かう可能性が出てきたわけだ。それを受けて、円高が猛スピードで進行することになった。円相場は、7月上旬には1ドル161円台まで値下がりをしていたが、植田総裁、パウエル議長の方針を受けて、8月5日には1ドル141円に値上がりすることになった。