主張しすぎないのがキモ!! 2代目[センチュリー]がやっぱりスゴかった

AI要約

センチュリーは半世紀以上にわたって日本の最高級を守り続けてきた高級車であり、V12気筒を誇った2代目に焦点を当てる。

2代目センチュリーは、そのデザインや使命、乗り心地などを通じて、おもてなしの精神を体現している。

センチュリーは日本らしい最高級を追求し、調和を大切にする日本独特の感性を次世代に伝えていく存在である。

主張しすぎないのがキモ!! 2代目[センチュリー]がやっぱりスゴかった

 日本が誇るショーファードリブン「センチュリー」は、半世紀以上にわたって日本の最高級を守り続けてきた。今回はそんなセンチュリーの中でもV12気筒を誇った2代目を中心に、センチュリーが守り続けるおもてなしの精神を学んでいこう。

 文:佐々木 亘/写真:トヨタ

 初代センチュリーは1967年から1997年まで、約30年間製造されていた。その間フルモデルチェンジは行われず、愚直に本物の高級車とは何か、日本らしい最高級は何かを問い続けていたのだ。

 その問いに対する一つの答えが、1997年に誕生した2代目センチュリーである。初代のデザインテイストを踏襲しながらも、中身は全くの別物と言っていいほど、進化しているのだ。革新と熟成が、ここに極まった。

 センチュリーに与えられた使命は、「大切な方を大切にお運びする」こと。この使命を達成するために練り上げられた「おもてなし」の数々は、今もなお、伝説として語り継がれている。

 現行の3代目センチュリーも、もちろん良いデザインなのだが、初代からキープコンセプトで創造された2代目センチュリーのデザインが馴染み深い。

 そもそもセンチュリーのデザインコンセプトは「車が乗る人よりも自らを主張しないこと」にある。

 クルマはあくまで背景であり、人を引き立てるものというのが、センチュリーの立ち位置。余計な丸みをそぎ落とし、最大7層にも及ぶ多回塗りを施したボディ表面は、周囲の光を歪みなく映りこませ、自然な輝きをそえている。

 またアルミドアフレームは、乗る人の姿を縁取る「額縁」であり、色艶・質感・断面の形状までこだわり尽くした。あくまでも人が主役であるというのが、センチュリーが最初に始めるおもてなしだ。

 一目でセンチュリーとわかるデザインだが、主張しすぎないからぼんやりとしか印象に残らない。華麗すぎるデザインの妙が、センチュリーにはある。

 センチュリーのあり方を表す言葉に「しつらい」というものがある。調度・支度などと言い換えられるこの言葉は、日本の最高級を体現するセンチュリーにピッタリの言葉だ。

 センチュリーの象徴である鳳凰マークは、工匠による手掘りである。車室内に入ると目を引く本木目の美しいパネルは、寸分の違いもない木目合わせまで行われているのだ。本革シートやコンソールを加えて、これらすべてが「工芸品」である。

 また走りに対しても、他車が提供できない滑らかさやゆとりがしつらえてある。

 V12エンジンは各気筒の爆発間隔が短いため、トルク変動が小さく、加速感に滑らかさが加わっていく。また、往復運動部品では究極のバランスをとることが可能であり、アイドリング振動も極めて小さく、低速走行でも、もちろん高速走行でも快適な乗り心地が生まれるのだ。

 そして、空を行く心地と称された乗り心地を実現するのは、スカイフック理論(路面の凹凸から受ける力に対して、車輪だけを上下動させ、ボディを空から吊り下げたように水平に保つ考え)に基づくセミアクティブコントロールシステムを採用したエアサスペンション。

 柔らかい乗り心地だけでなく、ロードノイズの低減にも一役買っている。

 音に関しても、センチュリーは独特の追求を続けた。物理的な静けさはもちろんあるが、どうしても消えないノイズに関しては、抑えるのではなく発生源まで遡って調整する。完全遮音ではなく、耳障りではない静寂を楽しむのも、日本人的な考え方だと思うのだ。

 現在も続くセンチュリーの「おもてなし」や「しつらえ」は、調和を大切にする日本独特の感性であり、日本人にしかできないものの作り方だと思う。センチュリーは次世代にも、日本人の崇高な感覚を、伝え続けていくはずだ。