「潰れるどころか絶好調」レンタルビデオの雄だったゲオが、「古着ビジネス」で見つけた新しい鉱脈

AI要約

ゲオ傘下の「セカンドストリート」が急成長を続けており、海外展開も成功している。

セカンドストリートは国内外で人気を集め、特にアメリカの市場で注目を浴びている。

日本独自のファッションセンスや店舗運営の工夫が成功の要因とされている。

レンタルビデオ店で知られる「GEO」の運営会社が急成長を続けている。リユース事業を担う傘下の古着店「セカンドストリート」が好調で、海外での店舗拡大を急ピッチで進めている。成長の理由はどこにあるのか。ライターの宮﨑まきこさんがアメリカ・ロサンゼルスで取材した――。

■ゲオ傘下の「セカンドストリート」が急成長している

 「ロサンゼルスやニューヨークで、古着のセカンドストリートが大人気らしい」そう聞いたとき、失礼ながら「あのセカストが?」と思った。

 セカンドストリートといえば、自宅から車で10分のバイパス沿いにある、排気ガスで少しかすんだ白と赤の看板が思い浮かぶ。いい服を安く買える我ら庶民の強い味方ではあるが、「おしゃれ」や「流行最先端」というイメージはない。

 一方、ニューヨークやロサンゼルスといえば、多くのセレブリティやインフルエンサーが暮らす、世界のファッション最先端の街。まずはイメージのギャップに戸惑った。

 しかも、運営するのはかつてのレンタルビデオショップの雄、ゲオホールディングスだ。レンタルビデオ業界は、サブスク制の動画配信事業に押され、もはや斜陽産業といわざるをえない。2007年に3404億円あった市場規模も、2023年には417億円にまで減少している。いまではあの黄色と青の看板に、懐かしさと若干の哀愁を感じるようになっていた。

 ところが同社の2024年3月期の連結決算書を見てみると、売上高は前期比115%となる4338億円と、過去最高を更新している。この牽引役が国内外のアパレルリユース事業だという。特に国内市場1位のセカンドストリートの勢いはすさまじく、店舗数は800を数える。売上は次席のZOZOを450億円以上引き離し、約600億円に上る(2023年リユース経済新聞調べ)。

■売り上げ、店舗数は右肩上がり

 国内だけではない。2018年1月に海外初店舗となるロサンゼルス・メルローズ店をオープン。以降、右肩上がりの成長を続け、アメリカの店舗数は37(2024年6月時点)になった。

 「セカンドストリートUSA」のインスタグラムフォロワー数は23万人。ちなみに国内アカウントのフォロワー数は6.2万人、40店舗以上展開するアメリカ最大規模の古着チェーン店「バッファローエクスチェンジ」でも、13万人だ。

 インスタグラムがビジュアルに訴えるSNSであることを考慮すると、アメリカでファッション感度の高い人たちの支持を多く集めていることがうかがえる。

 日本では「おしゃれ」というより「身近」で「手頃」なイメージを持つセカンドストリートが、なぜアメリカの流行最先端で支持されているのだろう。

 「安かろう、悪かろう」のアメリカ古着業界で、店内の清潔さや古着の品質、スタッフへの教育など、「日本的な店舗運営」が評判を呼んだのか。日本独自の尖ったファッションセンスが受け入れられたのだろうか。政府の「クール・ジャパン戦略」と何か関係があるのだろうか――。

 そう疑問や予想を立てながら、同社がアメリカ第1号店出店の地に選んだ、カリフォルニア州ロサンゼルスに飛んだ。