早くも「おせち商戦」始まる、イオンが1カ月前倒しで予約開始 EC勢など新規参入で対抗

AI要約

イオンは令和7年正月用おせちの予約受け付けを開始し、需要を取り込むために昨年よりも早く始めた。他社との競争が激化しており、商品ラインナップも充実している。

生成AIや物価高に対抗したおせちも展示され、市場の拡大と競争激化の背景について解説されている。早期予約の流れは今後も続くと見込まれている。

おせち商戦に参入する通信販売大手や百貨店なども早期予約を始めており、消費者にとっては選択肢が増える一方で、競争が激しくなっている。

早くも「おせち商戦」始まる、イオンが1カ月前倒しで予約開始 EC勢など新規参入で対抗

イオンは1日、令和7年正月用おせちの予約受け付けを開始した。昨年と比べ約1カ月の前倒しで、市場規模が拡大傾向にあるおせちの需要を少しでも取り込みたい考え。近年はおせち商戦の早期化が目立ち、新規参入が進むEC(電子商取引)サイト上では既に予約を受け付けている企業も多く、スーパーや百貨店も対抗せざるを得ないとの背景がある。

■生成AI考案、物価高対抗も

東京都内で1日に開かれたイオンのおせち発表会。「色彩」「豪華」などのキーワードをもとに生成AI(人工知能)が考案したおせちを具現化した「未来創造おせち」、物価高に対抗して価格を抑えた「1万円おせち」など計22種類がテーブルに並べられた。

予約開始は4年が9月第3週、5年は同第1週と年々早まっていたが、今年は商品発表を含め同社として最も早い8月1日に設定。店頭予約を含む本格受け付けも9月2日に始める。

前倒しの理由には注目度を高める狙いがある一方、イオンの土谷美津子副社長は「お盆に帰省した際、親族と一緒におせちを決めたいというニーズがある」と説明する。昨年は予約を始めた9月に受付件数が伸びたといい、同月の大型連休「シルバーウイーク」に親族と注文するおせちを相談し、すぐに予約を済ませる人が多かったと分析。お盆帰省を標的にすることで、そうしたニーズをさらに多く取り込む構えだ。

■背景に市場の拡大、競争激化

おせち商戦早期化の背景には、ECサイト勢などとの需要獲得競争もある。

2年に参入した通信販売大手のジャパネットホールディングス(HD)は7月22日から予約受け付けを開始。早期割引の特典も付けている。また、日本郵便は郵便局での店頭予約に先駆け、サイト上で7月1日から早期割引価格で予約を受け付けている。

民間調査会社の富士経済によると、おせちの市場規模は10年前の平成26年は589億円だったが、今年は843億円まで拡大。相次ぐ新規参入や新商品の開発などが需要の掘り起こしにつなっているとみている。

大丸松坂屋百貨店は秋の予約開始に先駆け、昨年は9月中旬だった商品発表会を今年は8月26日に実施する。ラインアップだけでも早めに告知し、顧客が他社に流れることを防ぐ。担当者は「バレンタインチョコもクリスマスケーキも商戦の時期が早まっている。もはや早期予約は慣習になりつつある」と指摘する。

富士経済の担当者は「予約開始時期が早い新規参入企業による早割やキャンセル無料期間の長期化といったサービスの活発化が、その他の企業の予約開始時期にも影響しており、早期化の流れは今後も続くのではないか」と予想している。