【分析】暗号資産市場は拡大しているのか? ドミナンスやビットコイン現物ETFなどのデータから変遷を紐解く

AI要約
今年は暗号資産市場にとってターニングポイントとなる年であり、ビットコインやイーサリアムETFの承認や米国の利下げなど重要なイベントが盛りだくさん。暗号資産市場の規模拡大が予想されており、ビットコインとステーブルコインを中心にその変遷を分析する。暗号資産市場の構成をドミナンスを基準に解説し、全体の平均日次取引高が他の資産クラスを上回っていることを明らかにする。
【分析】暗号資産市場は拡大しているのか? ドミナンスやビットコイン現物ETFなどのデータから変遷を紐解く

暗号資産(仮想通貨)取引所「SBI VCトレード」の市場オペレーション部 ディーラー のHyeonjun Noh氏によるコラム/レポートを掲載します。今回のテーマは「【分析】暗号資産市場は拡大しているのか? 資産クラス規模、時価総額、ビットコインやステーブルコインのドミナンス、ETFのデータから、その変遷を紐解く」です。

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今年は暗号資産市場にとって、ターニングポイントとなる年であると言っても過言ではありません。1月にはビットコイン現物ETFが、7月にはイーサリアム現物ETFが米国証券取引委員会(以下、SEC)によって承認され、取引が開始されました。また、4月に歴史上4度目となるビットコインの半減期を迎え、年内には米国の利下げが予想されるなど、暗号資産市場にとって重要なイベントが盛りだくさんです。

これらの出来事を通じ、暗号資産市場の規模は拡大してきたのではないかと予想する方も多いでしょう。果たして、実際には暗号資産市場はどのような変化を辿ってきたのでしょうか?

本稿では、上記の問いに対する解説として、ビットコインとステーブルコインを中心に暗号資産市場の構成を紐解いていきたいと思います。

暗号資産を区分する方法は、使用目的や独自レイヤーの有無など様々です。今回は、暗号資産市場におけるドミナンス(暗号資産市場全体の時価総額に対し、各銘柄がどれくらい占めているかを表す指標)を基準に考えていきたいと思います。

まず、暗号資産市場全体から触れていきます。上の図は、2023年度の暗号資産全体の平均日次取引高を、他の資産クラスの平均日次取引高と比較したグラフです。暗号資産全体の平均日次取引高は59.2億ドルであり、同期間においてDJIA(ダウ平均株価指数)とGerman Bunds(ドイツ国債)、U.S.Corporates(米国投資適格社債)を上回っています [*1] 。