【さらなる高次元バランス】シビックはまだまだ進化する 待望の「RS」先行試乗から探る「R」とのすみ分けとは

AI要約

シビックRSはよりスポーティーなバージョンとして市場に求められ、ハードも含めた様々な改良が施された。

ステアリングの剛性感は向上し、ユルさがなくなり細かな対話が可能に。リアの安定感も増し、安心感の高いドライビングが得られる。

改良前モデルよりもハイスピードでの進入が安定し、驚くほどのグリップ感を発揮。タイヤやボディ剛性に変更を加えないで実現した点に感動。

【さらなる高次元バランス】シビックはまだまだ進化する 待望の「RS」先行試乗から探る「R」とのすみ分けとは

photo:Hidenori Hanamura(花村英典)

ここ最近、メディアを賑わせているシビックと言えばハイブリッドのe:HEVやタイプRだが、先に登場した1.5Lターボエンジンモデルも以前から走りの印象は良かった。

実際の購入層もそれを認識しているのか、こだわった人が多いようで2024年3月ではMT車の販売比率は58%となっているそうだ。

そのようなシビックの販売状況の中で、市場から求められたのがよりスポーティーなバージョンだ。公道走行がメインなのでタイプRほどではないが、走りの特別感を感じられるモデルを望む層がシビックのユーザーには多かったということだろう。

MT車の販売比率などを見れば、RSの登場はホンダがしっかりと市場に向き合ったからこその回答と言える。なお、シビックはグローバルモデルであるが、この仕様のRSは日本独自の仕様だ。

専用のエクステリア&インテリアを筆頭に見て分かる部分はもちろんだが、レブマッチシステムの採用、軽量フライホイール、大型化されたブレーキ、ダンパーやバネレート、スタビライザーなどが変更されたサスペンションやタイプR譲りのステアリング関係など、ソフトだけでなくハードも積極的に変更したかなり凝った内容となっている。

ただ、ここまでハードを変更しているのにも関わらず、エンジンのパワーアップなどは施されておらず、速さではなく「走りの気持ち良さ」という数字に出来ない感応性能にこだわっていることが、試乗前の説明から伝わってきた。

筆者は幸運なことに、改良前のシビックでコース試走を済ませたうえで、シビックRSに乗ることができた。シビックRSに乗り始めた途端、その違いはスグに実感できるものであった。

まず、ステアリングの剛性感が大きく向上していて、「ユルさ」が取れた印象だ。ステアリングセンター付近から僅かに切り込んだだけでもしっかりと反応とインフォメーションがある。ステアリング操作の緻密さとフロントタイヤのインフォメーションが向上していて、これまで以上にクルマと細かな対話できるとスグに確信した。

そして、ワインディング区間へと入っていくと、リアの安定感に驚かされた。ステアリング操作に対してシャープに反応しながらも、リアはピーキーな雰囲気がせず安心してコーナーに進入していける。改良前モデルも同じ条件で試乗したが、進入からターンインまでの安心感は大きく違っていた。

また、前半は下っていて後半は上っているというクルマへの入力が大きく変化するコーナーでは、スムーズな荷重移動により、しっかりとタイヤが路面を掴んでいる印象であった。

どのコーナーでも改良前モデルよりハイスピードで進入しても安心感が高く、速い車速でコーナーをクリアできる。そのため、ドライブを終えた時には「もしやタイヤも変えた?」と疑い、思わずタイヤをチェックしてしまったほどだ。なお、タイヤは従前と同じグッドイヤーのイーグルF1だった。

タイヤを変えず、さらにはボディ剛性に対しても変更を行わないでココまでのグリップ感を出せるのは純粋に感動した。