WR-Vだけじゃない「フロンクスvsフリード」の競争図式がユーザーニーズから見えてくる

AI要約

コンパクトSUVの概念が変化している可能性がある。

スズキの新型コンパクトSUV「フロンクス」について詳細を紹介。

ホンダのコンパクトSUV「WR-V」はフロンクスとは異なる特徴を持つ。

WR-Vだけじゃない「フロンクスvsフリード」の競争図式がユーザーニーズから見えてくる

 コンパクトSUVの概念が、ユーザーの意識の中で崩れ始めているのではないか? 

 直近で登場している新型各モデルを取材しながら、筆者はそんな想いを抱いている。具体的には、スズキ「フロンクス」、ホンダ「WR-V」、同「フリードCROSSTAR」を比較してのことである。

 まずは、スズキの新型コンパクトSUV「フロンクス」について触れたい。

 開発責任者の森田祐司氏は「ハッチバックのバレーノではなく、日本はSUVの需要が高いため、フロンクスがマッチすると考えた」と、日本へのフロンクス導入を決めた経緯を説明する。

 「バレーノ」は、かつて日本でも販売されていたハッチバックモデルで、2代目となる現行型は「フロンクス」の兄弟車だ。

 初代バレーノの日本での販売が、スズキの想定より伸びなかった理由として、森田氏は先進運転支援システム(ADAS) などの安全装備が他社モデルと比べて少なかった点と、ボディ形状を挙げた。

 つまり、今回のフロンクス導入は、「ハッチバックではなくSUVを選んだ」ということである。実際にフロンクスの実車を見ると、デザインはスポーティで、日本のユーザーからの“引き”は良さそうだ。

■「SUVとしてわかりやすい」WR-V

 本稿執筆時点では、プロトタイプ試乗のみを体験しており、正式発売は2024年秋(価格も未公開)。ボディサイズは、先行発売されている南アフリカ仕様を参考にすれば、全長3995mm×全幅1765mm×全高1550mmとなる。

 乗ってみると、走りもいい。ステアリングの手応えがしっかりあり、クルマ全体の動きに深みがある。まさに「スイフト」などから脈々と続く、スズキの知見を基にコンパクトSUVに仕上げた感じだ。

 見た目も走りも、「スポーティなコンパクトSUV」という概念をストレートに表現したといえる。メーカーが考える、ユーザーにとって「わかりやすい商品」だ。

 そんなフロンクスの「SUVとしてのわかりやすさ」の対極にあるコンパクトSUVが、ホンダWR-Vである。

【写真】フロンクス/WR-V/フリードCROSSTARのデザインを見る(32枚)

 フロンクスと同様、インド生産のグローバルコンパクトSUVなのだが、サイズ感やコンセプトの方向性はフロンクスとまったく違う。パッと見の印象は、フロンクスよりだいぶ大きい。