薬剤に耐性持つゴキブリやトコジラミに アース製薬がスプレー発売

AI要約

ゴキブリやトコジラミに対する薬剤抵抗性の問題が深刻化する中、アース製薬が新たな害虫駆除スプレーを発売。

商品はブロフラニリドを配合し、国内初のスプレータイプで、スーパートコジラミにも有効だという。

害虫発生を予防するために、年1回の対策が推奨されている。

薬剤に耐性持つゴキブリやトコジラミに アース製薬がスプレー発売

 夏に活動が活発化するゴキブリ。従来の殺虫成分がほとんど効かない薬剤抵抗性を持つ個体も増えており、駆除に苦労する人もいるのではないか。そんな中、殺虫剤大手のアース製薬がこうしたゴキブリにも効く害虫駆除スプレーを発売した。同じ薬剤に耐性を持つ「スーパートコジラミ」にも有効だという。

 同社が22日に全国で発売した「ゼロノナイト ゴキブリ・トコジラミ用 1プッシュ式スプレー」(オープン価格)は、有効成分「ブロフラニリド」を配合。同社によると、スプレータイプの商品は国内初。2023年2月に室内に煙を充満させて害虫を駆除する「くん煙剤」タイプを発売し、好評だったために種類を増やしたという。

 有害生物の駆除に携わる企業などが加盟する日本ペストコントロール協会によると、ビルや飲食店で出くわす「チャバネゴキブリ」のほとんどが、殺虫成分「ピレスロイド」系の薬剤が効きにくくなっているという。耐性を持った個体は少なくとも1990年代から繁殖している。

 トコジラミは南京虫とも呼ばれる。布団などに潜み、刺されると強いかゆみなどを引き起こす。70年代に殺虫剤「DDT」などが広く散布されて被害が沈静化したが、ピレスロイド系などの殺虫剤が効きにくいスーパートコジラミが欧米や豪州で2000年ごろから猛威を振るい始めた。訪日外国人や海外から帰国した日本人が国内に持ち込み、その後数年で日本の都市部のホテルから広まったとされる。

 アース製薬によると、製品は室内にまんべんなく噴射したり、冷蔵庫の裏やベッド、畳のすき間など害虫が潜んでいそうな場所に噴射したりして使用する。同社は「害虫に直接噴射しなくても、薬剤に触れた害虫に数時間~数日間かけてゆっくり効くため、暴れることなくいつの間にか眠るように駆除される」と説明する。害虫発生を予防する効果もあるため、年1回の対策を推奨している。【中島昭浩】