会議で「反対意見ばかり主張する人」にはどう対応すべきか…人間関係を悪化させる「二項対立」を避ける話し方

AI要約

会議で反対意見を言う人に対する適切な対応方法について、業務改革コンサルタントの相原秀哉さんの意見を紹介しています。

反対者への対応に失敗してしまった事例を通じて、会議でのコミュニケーションの重要性を強調しています。

論理的な反対と感情的な反発という2つのパターンについて触れ、慎重な対応が求められることを説明しています。

会議で反対意見を言う人にどう対応すべきか。業務改革コンサルタントの相原秀哉さんは「反対者への対応を誤ると人間関係が壊れて、業務に支障をきたす危険性がある。単純な二項対立でとらえるのではなく、弁証法を用いて、新しい意見を生み出せないか考えることが大切だ」という――。

 ※本稿は、相原秀哉『結果を出す組織は、どんな会議をしているのか?』(フォレスト出版)の一部を再編集したものです。

■反対意見を出す人の扱いは慎重にすべき

 会議の内容や参加者、タイミングなどによっては会議の形式や進め方、内容などに反対意見が出るのは当然です。しかし、反対者への対応の仕方を誤ってしまえば会議で成果を出すのはおろか、最悪の場合には組織のチームワークや人間関係、日常業務に支障をきたす恐れがあるので注意が必要です(図表1参照)。

 そこで、本節では会議で反対者が現れた際の効果的な対処法をお伝えします。前半では無益な争いを避けるためにすべきことを、後半では反対意見を活かして成果につなげる方法を解説します。

■反対者が現れる際の2つのパターン

 そもそも、会議で反対者が現れる際には大きく分けて2つのパターンがあります。

 それは「論理的な反対」と「感情的な反発」です。前者は通常の議論の延長線上にあるので特に問題にならないのですが、後者は会議で成果を出すどころではなくなってしまう恐れがあります。

 また、厄介なのは万が一「論理的な反対」への対応の仕方を誤ってしまうと「感情的な反発」に移行することもあることです。なので、どちらのパターンにおいても慎重な対応が求められます。

■反対者への対応に失敗したケース

 ここで、対応に失敗してしまった例を見てみましょう。

 ある会社の営業本部の部長が集まって、売上や利益などの管理と報告にかかる作業負荷の削減案について検討しているとします。

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【Aさん】

「皆さんもご存じの通り、売上・利益の管理・報告のための作業に時間がかかりすぎて、顧客訪問や提案活動に費やす時間を十分に確保できないという悲鳴が現場からあがっています。昨今の採用難で人員を増やすのが容易ではない中、会社のさらなる成長を実現するために売上・利益の管理・報告の手間を減らす打ち手を策定し、早急に実行に移すことが求められています。ぜひ忌憚(きたん)のないご意見をいただきたい」

【B さん】

「いや、打ち手以前の問題として、そもそも会社として求める数値が細かすぎるのが問題なのではないですか? たとえば……」

【C さん】

「会社として必要な数値は、過去に十分吟味したうえで設定していますよ。今さらそこを深掘ったところで何も出てきやしませんよ」

【B さん】

「そうですか、では、管理ツールについてはいかがでしょうか? 正直、現場からあがってくるデータのミスで差し戻すケースが多くなっています。管理ツールでの作業に転記と手集計の部分が多いのが原因ではないでしょうか?」

【C さん】

「そんなことより、報告会議のほうを優先して対応が必要ですね。報告会議が形骸化しているのではないかという意見が少なくありません。その点についてどう思われますか?」

【B さん】

「この会議、もう抜けていいですか?」

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 さて、このケースではAさんの問題提起に対してBさん、Cさんが意見を出し合っています。しかし、BさんとCさんのやり取りの末にBさんが「会議を抜ける」と言い出してしまいました。これでは会議で成果を出すどころか、今後Bさんの力が必要なときに協力してもらえなくなってしまうかもしれません。

 なぜこのような事態になってしまったのでしょうか?