「世界最古のコンサル企業」が発表した“世界のCEOたちの意識”とは。「不確定な時代でも見通しは明るい」と見る有力経営者たち

AI要約

アーサー・ディ・リトルは130年以上の歴史を持つコンサルティングファームで、CEOインサイト 2024の公表に伴いメディア・ラウンドテーブルを開催した。

ADLは世界最古の経営コンサルティング会社で、高い成長率を誇る。CEOインサイト 2024では、CEOたちの楽観的な経済見通しが強調されている。

AI戦略に関しては全社的な導入が進んでいない状況であり、AIが単なるコスト削減だけでなく新たなビジネスモデルを作り出す可能性もあると指摘されている。

「世界最古のコンサル企業」が発表した“世界のCEOたちの意識”とは。「不確定な時代でも見通しは明るい」と見る有力経営者たち

130年以上の歴史を持つコンサルティングファーム、アーサー・ディ・リトル(以下、ADL)が6月、「CEOインサイト 2024」の公表にあわせて、メディア・ラウンドテーブルを開いた。来日した同社会長兼CEOのイグナシオ・ガルシア・アルベス氏が解説する「CEOインサイト 2024」などの概観と、ADLが俯瞰するCEOの展望は興味深い。

ADLは、1886年に設立された。業界では世界最古の経営コンサルティング会社として知られている。同社は1969年、月面着陸したアポロ11号プロジェクトを支援し、2019年にはドバイ道路交通局RTAのモビリティの国家開発ロードマップを立案するなど世界中の革新的なプロジェクトに携わってきた企業だ。ADLの2014~2023年のCAGR(年平均成長率)は15.5%。市場の平均の約2.5倍の成長だという。

ADLが調査発表している「CEOインサイト 2024」では、全世界の売上高10億ドル(約1590億円)以上のCEO282人にインタビューを実施している。

対象企業の事業領域は、通信、エネルギー・ユーティリティ、製造業(自動車を含む)、旅行・運輸、医療、金融サービスの6つの主要産業に等しく分布しており、世界の企業家たちの意識が偏りなく分かるようになっている。

このインサイトのもっとも注目すべき点は、CEOたちが経済の見通しについてかなり「楽観的」であるということだ。

「今後3年から5年のグローバルな経済の見通しについて、66%のCEOが非常に前向きに捉えています。前年は22%ですから、3倍に増加しました。これは驚くべきことです。

特にアジアでは78%という高い数字になっています。パンデミックをはじめとする危機を経験しながらも、危機は同時に機会も生み出しているということにCEOたちは気づいているのです」(アルベス氏)

また、「すべての部署に及ぶ全社的なAI戦略をどの程度導入しているか」という質問に対しては、意外な結果も出ている。

全社的・包括的なAI戦略を採用している企業はわずか13%。ADLでは、「今はまだAIの影響を十分に理解して全社に取り込むまでの移行期にある」と分析している。特に、南米、アフリカ、北米で「全社的な戦略的展望がある」と答えた割合は比較的低い。「アメリカは、AIの作り手、生産者にはなっているが、全体で見ると業種によってAIの準備がまだ不十分なところもある」とアルベス氏。

また、AIの導入の目的については次のように指摘した。

「人の代わりにAIを使って、作業効率を上げる、あるいはコスト削減するといった目的があるようです。しかし、AIは単にコストカットだけでなく、品質を向上させ、新しいビジネスモデルを作ることができる可能性もあります」(アルベス氏)