これぞラリーのだいご味! 泥だらけだった全日本ラリー選手権 第6戦「2024ARKラリーカムイ」 写真レポート 【Vol.1】

AI要約

全日本ラリー第6戦「ARKラリーカムイ」が北海道で開催され、新井大輝選手がJN1クラス優勝を果たす。

ヘイッキ・コバライネン選手が手術から回復し復帰、新たな挑戦を続ける。

JN2クラスでは松岡孝典選手が初優勝を飾り、長尾綱也選手が初参加で3位表彰台を獲得。

これぞラリーのだいご味! 泥だらけだった全日本ラリー選手権 第6戦「2024ARKラリーカムイ」 写真レポート 【Vol.1】

7月5日~7日の3日間、北海道で開催された全日本ラリー第6戦「ARKラリーカムイ」。本州~九州の舗装路(ターマック)から北海道・ニセコ近辺の未舗装路(グラベル)に舞台を移し、オープンクラスと併催のXCRを含めて78台がエントリーした。今年はSSが実施された2日間ともにウェットとなったことからまさに泥だらけのサバイバルラリーになるなか、新井大輝選手がJN1クラス優勝を飾った。そんなラリーの詳細レポートはAUTOSPORT WEBをご覧いただくとして、ここでは非常に盛りだくさんだった様々な話題をモーターファン的切り口でお伝えしよう!

全日本ラリーJN1クラスは新井大輝選手が12のSSすべてでトップタイプを刻み、2位と約1分の差をつけてぶっちぎりの勝利! 最新鋭の「トヨタ GR Yaris Rally2」ユーザー勢をはじめとする並みいるライバルに対し、中古のシュコダ・ファビアR5で、そして北海道遠征のため人員が限られ自らもメカニックを兼ねる体制で、さらにラリー中にはサイドブレーキの不調が発生するといった厳しい状況に遭遇しながらも、異次元の速さを魅せた。

これで6戦中4勝目となり、ポイントスタンディングはトップの勝田範彦選手(GR Yaris Rally2)と7ポイント差の2番手。残り2戦の戦いが俄然面白くなってきた!

2024年シーズンに入る前の健康診断で上行大動脈瘤との診断を受け、心臓の開胸外科手術を受けていたヘイッキ・コバライネン選手(AICELLO遠心DLヤリスRALLY2)。術後は自身のSNSで術後の順調な回復を語っていたが、その通り、今回のラリーカムイから見事に復帰した。

初日昼のサービスに戻ってきたコバライネン選手に話を聞いた。

「ラリーのペースはあまり良くはないかな。でも、ここに来られて、そしてまたラリーができてとてもハッピーです。冬の間は大変だったけど、しっかりと回復できています。手術した部分の胸の骨の状態も良いです。フィットネスはまあまあという感じでもうちょっと上げていかなければいけないけれど、ドライビングには問題ないですね」とコバライネン選手。

コ・ドライバーの北川紗衣選手によれば、ラリーはともかく自動車の運転さえリハビリを行なっているような状態のなかで、なんとかライバルに追いつこうと、初めて乗るGRヤリス・ラリー2に対して一所懸命にアジャストしていたという。今回はライバル勢が時間をかけて熟成してきているラリー2勢との差を感じたというが、「今年中に1勝を目指したい!」と熱く語ってくれた。

JN2クラスは開幕から第5戦までは若手ドライバー発掘カテゴリー「MORIZO CHALLENGE CUP」が併催されていたが、北海道のグラベル2戦がカテゴリー対象外となり、すでにMORIZO CHALLENGE CUPのチャンピオンを決めている山田啓介選手をはじめほとんどの選手が欠場した。

そうした状況もあり、チャンピオン争いで首位を走る三枝聖弥選手(名古屋スバル ラック DL WRX)のチャンスかと思われたが、GRカローラの松岡孝典選手がSS1から速さを見せて首位をキープ。追う三枝選手は2日目のSS8で痛恨のクラッシュを喫してリタイア。GRカローラが全日本ラリー初優勝を飾った。

そんなJN2クラスだが、モーターファン.jp的には3位に入った長尾綱也選手に注目したい。長尾選手は、TGRチャレンジプログラム2期生候補としてフィンランド選抜を経験。そして今回はキャロッセ、エムケーカシヤマ、住友ゴム、ウェルパインメディアの4社合同企画「JRC四駆ターボチャレンジプログラム」に選出されたドライバーのひとりとして、今回が全日本ラリーのデビュー戦となった。

「今回は最後まで走り切ること」を絶対の目標と設定しながら、「状況を見てペースを上げていく」ことを目論んでいた。いずれにしても完走を目標としながら終わってみれば初の全日本ラリーで3位表彰台を獲得! 「次のラリー北海道は思い切り行く!」という長尾選手の走りに注目だ!

主にトヨタ86やスバルBRZで争われるJN3クラスは、ラリージャパンでもおなじみ岡崎市出身の山本悠太選手(K-one Racing Team)が2日目にリードを広げてそのまま優勝かと思われたが、なんと最終SSにマシントラブルが発生して大きくペースダウン。我慢の走りを続けていた曽根崇仁選手が逆転で4年ぶりの優勝を果たした。

曽根選手は山口県の「GR Garage周南 INGING」のGRコンサルタントとして勤務している。「悠太選手にとってはかわいそうな結果となりましたが、素直にうれしいです。クルマはだいぶ仕上がっていますので、次のラリー北海道に向けてもっときちんとアジャストできるようにマシンをセッティングしていきたいです」と曽根選手。

実は店舗イベントのトークで「ラリーカムイで勝ったらお客様に北海道土産を買って帰る」と約束していたそう。次回のイベントは今週末(7/21)のスーパーフォーミュラ第4戦富士スピードウェイ戦のパブリックビューイングとのこと。どんなお土産が登場するか、ぜひ楽しみにしていただきたい! 近隣の方はお誘いあわせのうえ「GR Garage周南 INGING」へ。

2日目の朝6:00過ぎ、オーバーナイトパルクフェルメ(前夜からの車両保管)が解除されて朝のサービスに向かうのは、JN6クラスでランキング首位を走る天野智之/井上裕紀子組のアクア。すべてのSSでライバルに大きな差をつけ、まさに完勝のラリーカムイだった。一方、ラリー中は清水和夫選手が着実に2番手をキープしワンチャンスを狙っていただけに、プレッシャーはそれなりにかかっていたはず。残り2戦、天野組vs清水組の静かな戦いにもご注目を。

ウェットのグラベルラリーとなったことから、サービスに帰ってきたラリーカーはすべて泥だらけ。ボディの下回りやインナーフェンダー内部には雪だるま式に泥が溜まってしまうため、メカニックの皆さんは高圧洗浄機を使ったり、写真のようにしゃもじを使って泥をそぎ落とす場面も。

(Vol.2につづく)