アイリスオーヤマ、人気のパックご飯や飲料水の安さの秘密は…プラスチックへの強み

AI要約

アイリスオーヤマが食品事業を強化し、佐賀県の工場でパックご飯と飲料水の製造ラインを稼働開始。

食品事業を成長させ、2023年に売上高を290億円から1000億円に拡大する計画。

パックご飯や飲料水の売上増加の理由は、自社製プラスチック製の容器やボトルを使用し価格競争力を高めていること。

 家電・生活用品大手のアイリスオーヤマ(仙台市)が食品事業を強化している。プラスチック製品を生産している佐賀県鳥栖市の工場に、食品事業の主力であるパックご飯と飲料水の製造ラインを新設し、9日から稼働を始めた。今後も堅調な需要を期待できる有望市場と位置づけ、経営を支える事業に育てたい考えだ。

 大山晃弘社長は9日の記者会見で、「人口が減る中で非常に力強く成長している市場だ。アイリスのもう一つの柱にしたい」と意気込んだ。2023年12月期決算では、グループ売上高7540億円のうち食品事業は4%程度の290億円。これを30年には1000億円(うち輸出額100億円)にする計画も明らかにした。

 現在はパックご飯を宮城県角田市、飲料水を静岡県で製造。約120億円を投じて改修した鳥栖工場は食品を全国に安定供給する拠点となる。

 同社は東日本大震災後の13年、農業の復興支援として精米事業を始め、食品事業に参入。防災意識の高まりを受け、レトルトや缶詰なども製造している。特に近年は、パックご飯が非常食ではなく手軽な日常食として、飲料水も健康志向の消費者が増えたことで市場が拡大しているという。

 同社は「さらに積極的に投資する」として、25年に完成する岡山県の新工場でも食品を製造する方針だ。国内17工場のうち食品製造も手がける7工場はライン増設を検討するとしている。

 アイリスオーヤマのパックご飯や飲料水が売り上げを伸ばしている理由には、小売価格が比較的安いことも挙げられる。安さの秘密は、容器やペットボトルが自社製であることだ。

 食品メーカーであれば通常、パッケージは外部から調達する。だが、同社が強みを持つのはプラスチックを使った生活用品。元々、プラ製品を生産していた鳥栖工場ではボトルを原料から成形し、そのまま飲料水を入れて製造されている。

 大山社長は「(パッケージを含めた)一貫生産でコストダウンを図り、価格競争力を高めている。これを生かし、国内と海外に打って出たい」と話している。