未だに300万円もすんの!? ラシーンは当時家族優先のクルマだった!? 30年経ってもファン多めなラシーン新車販売当時の評価を振り返ってみる!! 【リバイバルBESTCAR】

AI要約

ラシーンは独創的なスタイルのRVとして誕生し、アウトドア愛好家に支持された。1995年に発表されたこのクルマは、個性的な外観と小さなエンジンを備えており、新しいジャンルを確立した。

ラシーンのスタイルには賛否両論があり、見た目の個性を評価する人もいれば、カッコ悪いと感じる人もいた。ただ、クルマデザインの多様性の中で異彩を放ち、成功を収めた。

宮本健主幹の決断により、このようなコミカルでレトロチックなデザインのクルマが生まれたことは、産業全体にとって意義深いものであり、市場での成功も納得できるものである。

未だに300万円もすんの!? ラシーンは当時家族優先のクルマだった!? 30年経ってもファン多めなラシーン新車販売当時の評価を振り返ってみる!! 【リバイバルBESTCAR】

 昨今のアウトドアブームとネオクラシックカーブームでかつてのRVブームを牽引した存在の一人である日産ラシーンが再び日の目を浴びている。そこで今回は、このクルマの販売当時はどのような評価を受けていたのか?ベストカーが掲載した新車当時の記事をリバイバルし過去を振り返っていこうと思う。

 この記事はベストカー1995年1月26日号(著者はベストカー編集部宇井弘明)を転載し、再編集したものです

 噂のラシーンがついにやってきた。乗用車とも違う、またこれまでのRVとも違うラシーン。独創的なスタイルで登場したラシーンとはどんなクルマなのか、一番試乗をお届けしよう。レポートはラシーンをもっとも選びそうな年代のオトーサンを代表して本誌・宇井が担当!

 昔、オトーサンの休日は、ゴロ寝か、ゴルフかパチンコというのが相場だった。

 経済成長真っ只中のことだが、最近は違う。もはや週休2日は当たり前、せっかくの休みな~んていう感覚は昔ほどじゃないし、それよりなにより、女性の地位向上は家庭内にもしっかりと定着しているから、家でゴロ寝なんて決めこもうもんなら、激しい口撃に合ってしまう。

 火事の手伝いはもちろん、子供の世話、犬の散歩まで休むどころじゃない。知らないうちに飼いならされてしまったオトーサンの潜在意識は訴えた。家の仕事から解放される方法はないかと。

 これまた知らないうちに誘われるまま家族で参加したキャンプに行ってオトーサンはビーンときた。これだ!子供は喜ぶわ、口うるさい奥さんもニンマリ。こうして海へ山へ繰り出した。

 最初はコロナやブルーバード、 マークIIで出かけていたが、キャンプ場につくと、ワゴンだのIBOX、クロカンタイプの4WDだのがやたらと目に付き、「よ~し、次に買うのはRVだ」と決断しちゃったりする。

 とまあ、現在のファミリー層のアウトドア派の多くは、こうした軌跡をただってRVを選びをしているんじゃないでしょうか。そんな"日本中流家庭アウトドア症候群"(勝手に付けました}御用達の新ジャンルカーが日産から発表された。その名はラシーン(羅針盤から命名)。

 1993年東京モーターショーに展示されたし、ここ数号にわたって本誌でも紹介しているのでご記憶の読者も多いと思う。子供が描いた絵のような個性的なスタイルのボディに1497cc、105馬力の比較的小さなエンジンを載せ、しかも4WDというRVだ。

 これなら確かにキャンプ場で、隣の人とコンロやテーブルのブランド戦争から、クルマ部門では一歩抜け出せそうではある。

 ラシーンの開発責任者の宮本健主幹も「どこにもないスタイル」と強調しているように、このラシーンのスタイルについては個性的とは誰もが認めるが、好きか嫌いかという点では真っぶたつに分かれる。

 写真で見るより実車のほうがはるかにいいのだが、ハッキリいってカッコ悪いと思う。

 しかし、現代のようにクルマのデザインがほとんど同じ方向を向いている中にあって、宮本主管の決断はわからないわけでない。たしかにこんなコミカルで、ちょっとレトロチックで他の乗用車と違うという主張も当然"あり"だろうし、誰かがやらなければならなかったことかも知れない。

 これらをラシーンでやったのは正解で、月販5000台以上売るクルマではなかなかできないものだろう。