パリの高級ホテル、五輪開幕間近でも需要大幅減-交通渋滞に懸念

AI要約

富裕層の観光客にとってパリは意外にも不人気な旅行先であり、高級ホテルの宿泊需要が大幅に減少している。

パリ五輪開催前に交通渋滞や警備強化が懸念されており、一部の観光客は他の都市を選ぶ傾向にある。

政治的混乱があるものの、大会進行によりビジネスは改善すると予想されている。

(ブルームバーグ): 7月26日-8月11日に夏季五輪が開催されるパリは、富裕層の観光客にとって意外にも不人気な旅行先であることが判明している。訪問客は市内の車での移動が困難なことを懸念している。

1泊の宿泊料金が800ユーロ(約14万円)以上のホテルを代表するUMIHプレステージによると、パリ五輪開催を前に高級ホテルの宿泊需要は大幅に減少している。6月最終週と7月の大部分の予約は、昨年の同時期と比べて20-50%減少しているという。

モンテーニュ通りにあるホテル「プラザ・アテネ」の副総支配人ローレンス・ブロッホ氏は「ここ24年間にこうした状況は見たことがない」と話す。同ホテルはシャネルやクリスチャン・ディオールの店舗に近く、一部の部屋の宿泊料金が2500ユーロ以上に上る。パリが五輪用の仮設施設を整備した後の交通渋滞が懸念されていることで、7月には客室稼働率が15%まで低下している日もあるという。

また、今月26日の開会式を前にセーヌ川沿いの警備が強化されるため、さらに交通渋滞が悪化する恐れがある。

UMHIプレステージのクリストフ・ロール代表は「パリでは現在、五輪開催を前に高級ホテルの客室需要が著しく落ち込んでいる」と指摘。ただ、今月22日以降はこの傾向が改善するとの見通しを示した。

一部の観光客は今のところパリを避けている。「彼らはフレンチリビエラや、ロンドンなど他の都市を選び、パリにはまた別の機会に来るつもりなのだろう」とロール氏は語った。

フランスは国民議会(下院)選挙の決算投票後に政治的混乱に見舞われているものの、それは観光客がパリ訪問を断念する理由にはなっていないと、ロール氏とブロッホ氏は話す。両氏は大会が進むにつれてビジネスは急回復すると予想している。

プラザ・アテネの客室稼働率は25日以降に約85%となっており、企業スポンサーが五輪開催中の大部分の期間について、客室の半分を予約しているとブロッホ氏は指摘。開会式当日の一定期間は交通規制が敷かれるため、ホテルは到着客の荷物の運搬を人力車に頼ることになるという。