中国が米国の若者にアプローチ、欧米の考え拒む習氏の思惑見え隠れ

AI要約

中国政府が米国人学生の中国招待プログラムを強化するために最大規模の働きかけを行っているが、参加者の中には台本があると批判する声もある。

米中関係の緊張状態が続く中、中国政府は留学生の数を増やす一方、外国からの思想の流入をコントロールすることにも注力している。

中国の検閲システムや留学生の減少により、米国人と中国との文化交流の可能性が制約されている。

中国が米国の若者にアプローチ、欧米の考え拒む習氏の思惑見え隠れ

(ブルームバーグ): 中国の習近平国家主席が米国との関係を安定化させるため5万人の米国人学生を中国に招くと公約してから8カ月を経て、中国政府はこれまでで最大規模の働きかけを行った。

中国政府に関係する複数の団体が先月、福建省で開催された1週間の青少年フェスティバルに約220人の若い米国人を迎えた。

多くの米国人参加者が米国に次ぐ世界2位の経済大国を訪問できたことに感謝していると述べた一方、何人かはこのイベントには台本があり、オープンな対話が欠けていたと批判した。

ウクライナで戦争を続けているロシアに対する中国政府の支持や中国の対米輸出急増などで、米中の関係は緊張状態が続いている。そうした中での植樹や人形劇鑑賞といった交流は、最大級の問題に取り組むことができなかったことを露呈させたと2人の米国人参加者は語った。

米国で中国語を勉強しているトリー・ノウルズさん(27)はこうした「監督された」雰囲気に「何か見えていないものがあるのではないか」という不安を覚えたと話す。

留学生急減

振り付けが施されたようなこのフェスティバルは、昨年11月に米カリフォルニア州でバイデン米大統領と会談した習主席が健全な米国との関係の基礎と呼んだ人的交流の再開に向けた課題を指浮き彫りにしている。中国に留学している米国人は現在わずか900人。10年前の約1万5000人から大きく減った。

北京のシンクタンク、全球化智庫(CCG)は、学位取得を目的としない訪中学生を含むより広い定義に基づき、この数をやや多めに約3000人としている。

共産党幹部はこうした留学生の数を増やすことと、外国から中国への思想の流入をコントロールすることのバランスを取る必要がある。

中国の検閲システム「防火長城(グレートファイアウオール)」は、国内のインターネットから外部のセンシティブなコメントを遮断し、海外の映画や書籍は厳しく検閲され、多くの米国人の視点を覆い隠している。