インフレの「被害者」は誰か? 食料だけじゃない「若者苦境」の原因

AI要約

日本の消費者が直面する物価高(インフレ)について、米国のインフレ率や若年層への影響、食費などでの支出増加、米国の食料品価格の上昇などが述べられている。

特に若年層はインフレの影響を受けやすく、食費が最も大きく増加していることが調査結果から明らかになっている。

また、米国の食料品価格の増加により、外食を控えてもコストを抑えることが難しくなっており、家計の行き詰まりが依然として解消されていない状況が伝えられている。

インフレの「被害者」は誰か? 食料だけじゃない「若者苦境」の原因

 日本の消費者が直面する物価高(インフレ)。世界的にもインフレに直面しており、日本で750円程度のバーガーセットは米国では2,500円もする。2023年ごろより米国のインフレは落ち着きつつあるが、今なお多くの消費者は外食を控え、支出を抑制しようとしている。それでもスーパーの食料も価格が大きく上昇しているほか、住居費も高騰を続けており、特に若年層の家計行き詰まりを招いている。

 2022年のピーク時に比べると落ち着きを見せる米国のインフレだが、消費者が実感できる水準には至っていない。特に収入が安定しない若年層への影響は依然無視できない状況だ。

 CNBCとGeneration Labが実施した5月の調査では、若年層にどのような影響が出ているのか、その一端が明らかになった。同調査でインフレの影響が予算のどの部分で最も大きいかを尋ねたところ、54%が食費を選択し、他の選択肢を大きく引き離したことが分かった。2位の家賃(22%)、3位の裁量支出(10%)を大きく上回る結果となっている。

 調査対象は18歳から34歳までの1033人で、いわゆるZ世代とミレニアル世代と呼ばれる層が中心。これらの世代は一般的に収入が低く、食費などの生活必需品が家計に占める割合が大きい。

 米国のインフレ率は、2022年6月に前年同月比9.1%でピークを迎えた後、2024年3月時点では3.5%まで低下した。しかし、食料品価格は過去4年間で25%増加、CPI(消費者物価指数)が対象とする全品目の平均である21%を超えた。

 一部では賃金上昇率がインフレ率を上回るようになり、家計行き詰まり状況も緩和に向かいつつあるが、過去数年高騰を続けてきた食料品価格に対して、賃金のキャッチアップには時間がかかると見込まれる。

 過去何度か米国では深刻なインフレが起こったが、その際は、外食を控えることで食費を節約することができた。しかし、現在は食料品の高騰により、外食を控えてもコストを抑えることが困難となっている。上記の調査結果はこうした状況を反映したものといえるだろう。

 ちなみにUSA Today(2024年5月31日)が報じたところでは、シアトルではビッグマックコンボの価格が15ドル(約2,300円)ほどまで上昇したという。

 米国農務省が発表した2024年1月の「Monthly Cost of Food Report」では、栄養価の高い食事を自宅で用意するために必要な食料品の月間予算が、年齢層や性別ごとに示されている。最も経済的な「Thrifty plan」から、最も豪華な「Liberal plan」まで4段階に分けられている。

 成人男性の月間平均食費はThrifty planで275.63ドル、Liberal planで434.33ドル、成人女性の平均はThrifty planで238.46ドル、Liberal planで384.93ドル。成人男性と成人女性で構成される世帯では、月間514~820ドルほどが食費の目安となる。1日あたり27ドル、1食あたりでは9ドルに換算される。