フランス、極右の政権獲得は回避-議会分裂で新政権成立は極めて困難

AI要約

フランス国民議会(下院)選挙で極右勢力の敗北が起き、分裂議会の誕生が長期政治的混迷を予測させる。

左派連合が最大勢力となるものの絶対多数派に届かず、政権形成が難航する状況となる。

投資家の極右政権懸念は回避されたものの、実行能力のある政権の成立が困難となった。

(ブルームバーグ): 7日実施されたフランス国民議会(下院)選挙決選投票で、マリーヌ・ルペン氏率いる極右勢力は予想外の敗北を喫した。明確な多数派を持たない分裂議会が誕生したことで、フランスは長期にわたる政治的混迷へと向かっている。

極左グループ「不屈のフランス」を含む左派連合が、下院577議席のうち178議席を獲得して最大勢力となるが、それでも絶対多数に必要な289議席には遠く及ばない。マクロン大統領のグループが2位で、ルペン氏の国民連合(RN)は3位にとどまった。

先月の欧州議会選挙で右派が圧勝したため、投資家は極右による政権奪取を懸念していた。しかし、一部のアナリストはジャンリュック・メランション氏が率いる「不屈のフランス」が政権を獲得することをより懸念していた。メランション氏は財政を不安定にし、市場危機を招くリスクのある政府支出を公約を掲げていた。

選挙結果は、メランション氏もルペン氏も自分たちの計画を実行に移すことができないことを意味し、実行能力のある政権の成立を極めて困難にした。

アドバイザリー会社テネオの政治アナリスト、アントニオ・バローゾ氏は「極端な事態は回避された。しかし問題は、政権成立への簡単な道がないことだ」と話した。

フランス国債とユーロはほぼ変わらず。フランス株の指標CAC40指数は0.4%高。フランス株は最近の下げのほぼ半分を取り戻し選挙発表前の6月9日に比べ3.7%安となっている。

新人民戦線として知られる左派連合は、ルペン氏のグループが過半数を獲得するのを阻止するため、第2回投票の前にマクロン氏の中道派と協定を結んだ。フランス内務省によると、ルペン氏のRNは第1回投票で最大の得票率だったが、最終的にはマクロン氏のグループが獲得した156議席に対して143議席にとどまった。

フランスで政治が行き詰まり、議会が3つのブロックに分かれるというシナリオは、最もましなシナリオだ」とミラボーのディレクター、ジョン・プラサール氏は述べた。