今、勢いのある国内スタートアップは? 300社超応募のピッチ大会から見える事業トレンド

AI要約

IVS2024 KYOTO で行われたスタートアップイベントの概要。ピッチコンテスト「IVS2024 LAUNCHPAD KYOTO」による15社のスタートアップ紹介。

ファイナリスト15社の事業トレンド。AIや宇宙関連企業の台頭。海外志向の強さも見られる。

優勝したレナトスロボティクスの自動倉庫システムについて。海外展開やナスダック上場への準備についても言及。

今、勢いのある国内スタートアップは? 300社超応募のピッチ大会から見える事業トレンド

国内最大級のスタートアップイベント「IVS2024 KYOTO」が7月4~6日、京都市の京都パルスプラザを主会場に開かれた。

目玉企画のピッチコンテスト「IVS2024 LAUNCHPAD KYOTO」には、300社以上の応募から選ばれたスタートアップ15社が登壇した。各社の事業領域やサービスの特徴からは、今、注目されるスタートアップの傾向が見える。

優勝に輝いた東京大学発ベンチャー「RENATUS ROBOTICS(レナトスロボティクス)」や入賞企業の事業を見ていこう。

ファイナリスト15社から見える事業トレンドの一つは、やはり「AI」だ。今回は、15社中10社以上がAIを活用したサービスを開発していた。衛星データの利用など宇宙に関連する企業も複数選ばれた。

海外志向も強く見られた。ファイナリスト企業は大半が創業から5年以内だが、国内スタートアップのうち7社は既に海外でサービスを展開したり、早期から海外展開を見据えるなど「Day1グローバル」(起業当初から海外市場を狙う)の意識が強かった。

国内市況が悪化する中、海外に成長を求める現れと言えそうだ。

15社の中から1位に輝いたレナトスロボティクスは、2022年設立の東大発ベンチャー。「AI」と「グローバル」がプレゼンのキーワードだ。EC事業者向けに、AIを活用した自動倉庫を開発している 。

同社の自動倉庫システムはロボット、アルゴリズム、 昇降機、ラックなどが全て自社開発で、スピードに強みを持つ。

プレゼンターを務めた同社COOの安藤奨馬さんによると、通常、倉庫からの出荷は1件あたり4分程度かかる。レナトスが開発した自動倉庫システムは人力では時間のかかる商品のピッキングをロボットが自動で行う。人の作業は検品や梱包のみとなり、出荷にかかる時間を12秒に短縮したという。

需要が旺盛な事業を見極めた。

COOの安藤さんは自動倉庫の開発を始めた経緯について、

「世の中にある全ての事業シーズの中から最もインパクトがある事業を探し、それを技術で解決することがしたいと思っていました。元々、東大発のAIロボティクスベンチャーとして3年ほど企業の受託開発をしていて、中には事業化しそうなものもあったのですが、本当に大きな事業が見つかるまで我慢してきた」

と話す。

「大きな事業」と見定めた自動倉庫は、物流の「2024年問題」に揺れる日本国内だけでなく、グローバルでも需要がある。

競合のフランス「エグゾテック」はユニコーン企業。アメリカの「シンボティック」は2022年にナスダックに上場し、株価も好調だ。

安藤さんによると、レナトスのシステムは他社と比較してスピードに強みがあるという。自転車と同程度の速度(秒速4メートル)で動くロボットが最大2000台、ぶつかったり渋滞したりせずに最適な順序で走行する。

「他社だとどうしても(ロボットの)渋滞が発生してしまう設計になっていたり、そもそも保管効率に特化している会社もある。ニーズが大きい『スピード』『人件費削減』という点で我々の方が優位性がある」(安藤さん)

ナスダックへの上場を目指し、アメリカ進出に向けて準備を進める。既に本社はカリフォルニアに置いている。

「投資家様に『まずは日本で事例を作ろうよ』と言われたことはあったんですけど、やっぱり(海外は)マーケットが大きい。円安など海外進出を後押しする要素もあります。日本で安く作り、海外で売るということをしていきたい」(安藤さん)

2位以下の入賞企業は次の通り。