ANA、空港酷暑対策でファン付きベスト導入 グラハン・整備士1万人着用

AI要約

ANAグループが国内約50空港のスタッフと整備士向けにファン付きベストを導入。夏場の酷暑対策として約5時間使える効果的なベスト。

ベストの導入対象は約7000人のグラハンスタッフと約3600人の整備士。整備士への個人貸与が始まり、効果を実感し、グラハン部門にも導入。

ベストはデザインも考慮し、3種類の色が用意され、ランプハンドリング業務において安全性と涼しさを追求。

ANA、空港酷暑対策でファン付きベスト導入 グラハン・整備士1万人着用

 全日本空輸(ANA/NH)を中核とするANAグループは7月4日、国内約50空港のグランドハンドリング(グラハン、地上作業)スタッフと整備士にファン付きベストを導入したと発表した。夏場の酷暑対策のひとつで、一度の充電で風量がもっとも多いモードで約5時間使えるという。

 ファン付きベストの導入対象は、ANAグループが就航する国内約50空港で、対象人数はグラハンスタッフが約7000人、整備士が約3600人。昨年夏に整備士の酷暑対策として会社が導入し、共用で使っていたところ効果があったため、今年6月24日から整備士への個人貸与が始まり、7月1日からはグラハン部門にも導入された。

 グラハン部門では、機体の牽引や誘導、貨物・手荷物の搭降載・搬送など「ランプハンドリング」と呼ばれる業務のうち、機体の近くで作業する人を中心に導入した。既存の安全ベストと同様に視認性が高いもので、職種ごとにオレンジ、黄色とオレンジのツートン、黄色の3種類を用意した。

 オレンジは整備士と「ヘッドセットオペレーター」と呼ばれるグラハンスタッフが着用。黄色とオレンジのツートンはグラハンの責任者、黄色はグラハンの一般スタッフが着用する。また、ANAのコーポレートカラーであるトリトンブルーとモヒカンブルーもアクセントとして配した。

 ファン付きベストはミドリ安全(渋谷区)製で、ANAオリジナル仕様。ランプパス(身分証)をしまう左胸部分は透明なウレタンシートで、パスが見えるようになっており、裾(すそ)を調節できるようにして冷却効果を得られるようにした。また、社員からの要望で前側にポケットを2つ用意した。

 ファンの風量は3段階で、「Low」が毎分2.3立方メートル(毎秒約38リットル)、「Middle」が2.7立方メートル(同45リットル)、「Hi」が3.8立方メートル(同63リットル)で、作動時間はLowで約15.5時間、Middleで約10時間、Hiで約5時間。ANAによると、スポット(駐機場)周辺での作業は約2時間程度で、水分補給や休憩などを挟んでいるという。

 4日に羽田空港で着用してランプハンドリング作業を行ったANAエアポートサービスの加藤潤一さんは「着た瞬間から涼しく、ベストを脱いだ時に暑さを感じたのでそれだけ涼しい」、進元明日生(しんげん・あすな)さんは「風が強くて快適」と話していた。

 ANAによると、ファン付きベストは基本的に個人貸与となるが、部署や空港によっては使用頻度などで共用になるケースもあるという。

 また、ANAは夏季用制服として初めてポロシャツを導入。20年ぶりの新制服で、シャツの裾を外に出す「タックアウト」した状態で着用できるようにした。加藤さんは「従来は高所作業でシャツが出てしまったが、裾を外に出せるので作業しやすい」と話していた。