「三菱倉庫」は株主還元からもう逃げられない…!ベールに包まれた「優良銘柄」のポテンシャルを暴く「還元”逆張り”投資術」の正しい作法

AI要約

日本株市場において、高配当利回り株が依然として注目されており、投資パフォーマンスも良好である。

過去数年間の高配当利回り株と低配当利回り株の累積パフォーマンスを比較すると、その差異が明らかである。

マクロ環境や市場制度の改革、個人投資家の需給増加などが高配当利回り株に追い風をもたらしており、今後も注目される可能性が高い。

「三菱倉庫」は株主還元からもう逃げられない…!ベールに包まれた「優良銘柄」のポテンシャルを暴く「還元”逆張り”投資術」の正しい作法

今年の日本株市場は目立った投資テーマに乏しい状態がとなっているが、それでも依然として注目度が高いのが株主還元の強化、および高配当利回り株である。

特に、高配当利回り株は実際に投資パフォーマンスが極めて良好な状態が続いているため、日本株への投資を考えるうえでこれを無視するわけにはいかない。たとえば、コロナ・ショックから落ち着きを取り戻した過去4年程度の高配当利回り株、低配当利回り株の累積パフォーマンスの差分を観察してみると、その差異は一目瞭然だ。

以下の図は、TOPIX構成銘柄のうち、12ヵ月先コンセンサス予想配当利回りが高い群(上位20%以上)と低い群(下位20%未満)に分割し、銘柄群の月次の平均パフォーマンスを累積したものである。

図:高配当利回り銘柄と低配当利回り銘柄の投資パフォーマンス

これを見るかぎり、ここ数年程度は難しいことを考えずに、単に配当利回りが高い銘柄に投資していただけで、安定的かつ高パフォーマンスを得られていたことが分かる。

この背景としては、米国の金利の高止まりが継続したために割安株が選好されやすい局面であったこと、昨年の東証の資本効率性の改革の施策に伴ってキャッシュリッチ企業に対する株主還元の強化の圧力が高まったこと、新NISAの開始で高配当利回り株を好む個人投資家の需給が増加したことなどが挙げられるだろう。

マクロ環境、市場制度の改革、需給のすべてが高配当利回り株に追い風であったという、ある意味で稀有な期間であったのかもしれない。

周知のように、米国ではインフレの沈静化によって徐々に利下げの実施期待が高まり始めているため、この特異な環境が継続するかは不透明であるが、少なくとも株主還元の強化圧力と個人投資家の需給の増加については、日本株市場の独自のテーマとして残り続ける可能性が高いだろう。

そうだとすれば、投資アイデアの観点では、株主還元に対する意識の高い銘柄に投資をすべきだ、ということになるだろう。

株主を意識した経営を行っている銘柄は、それだけで投資家から好印象を持たれて買われる可能性が高いからだ。しかし、逆に考えると、そういった銘柄はここ数年間の還元強化ブームの流れの中で投資家に物色され尽くしてしまっている可能性もある。

もともと還元に対して前向きなスタンスを続けている優良企業なのだから、投資家がそういった銘柄を見逃して放置している可能性は低いだろう。