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快走アシックス、鬼塚喜八郎「キリモミ商法」「頂上作戦」の教え
アシックスはランニングシューズとファッションスニーカーで世界的な成功を収めており、売上高は急成長している。テニスシューズ市場でも急拡大を目指し、注目を集めている。
富永社長はテニスを新たな収益の柱に位置づけ、強化を図るとともに、テニスシューズ市場でのトップシェア獲得を目指している。
アシックスは長年にわたりテニス市場への投資を続けており、大物選手との提携や製品開発に注力して成功を収めている。
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アシックスの快進撃が続いている。売上高の半分を占めるランニングシューズが世界中で売れ、ファッションスニーカーでも「オニツカタイガー」「スポーツスタイル」が若者の人気を集める。2024年12月期の連結売上高の見通しは、コロナ前の19年12月期に比べて約1.6倍の5900億円。時価総額は昨年12月に8000億円台だったのに対し、現在は1兆8702億円(6月27日時点)。絶好調の背景には何があるのか。(この記事は「WWDJAPAN」2024年7月1日号からの抜粋です)
5月末、テニスのグランドスラム(4大会)の一つ全仏オープンの会場に、アシックス富永満之社長の姿があった。学生時代にプロを目指して米国にテニス留学をした富永社長の目は、赤土のクレーコートでプレーする選手の足元に注がれていた。
「(ビジネスの)伸び代を肌で感じた」。そう振り返るのは、アシックスのシューズを履いた選手が予想以上に多かったからだ。男子選手128人のうち31人。契約選手以外の着用、つまり自分の意志でアシックスを選んだ選手が20人にも上った。ナイキの21人、アディダスの16人を抑えてシェア1位に躍り出た。
テニスシューズで世界一を狙え
6月18日に開催した投資家向けの事業説明会で、富永社長は「テニスをランニングに次ぐ収益の柱にする」と宣言した。社長直轄チーム「Tプロジェクト」を発足し、商品開発やマーケティングに集中的な投資をかける。テニスシューズでは現在でも各地域で1~2位の座を得ているが、目指すのは盤石な1位である。26年度のテニスシューズの売上高目標を23年比1.3倍の300億円に設定した。
実は2010年ごろから競技人口の多い欧米市場でテニスを強化してきた。グランドスラム歴代最多24勝のノバク・ジョコビッチ選手とも18年にアドバイザリー契約を結んだ。選手のプレースタイルに合わせた製品開発でトップ選手の支持をじわじわと広げた。
ランニングに比べてテニスの市場規模は小さい。売上高目標に掲げる300億円も、ランニングの2859億円(23年度実績)に比べれば小粒だ。それでも重点投資するのはブランディング効果が大きいからだ。テニスとゴルフは富裕層の愛好家が多く、高級時計やラグジュアリーブランドもテニス選手を広告塔に起用する。