モノづくりのスマート化を実現するための「7つのリファレンス」とは

AI要約

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)がスマートマニュファクチャリング構築ガイドラインを公開。製造業向けの7つのリファレンスを提示。

NEDOが製造業のダイナミック・ケイパビリティ強化に向け、5G等の活用を推進。製造現場での柔軟な対応力を強化。

国内製造業のスマート工場の全体像を示すガイドラインを公開。製造業各社の変革手法を提案。

モノづくりのスマート化を実現するための「7つのリファレンス」とは

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2024年6月28日、デジタル技術を用いたモノづくり全体のプロセスを最適化するための手法を導入、適用するために必要な考え方や方法をまとめた「スマートマニュファクチャリング構築ガイドライン」を公開したと発表した。このガイドラインでは、製造業が具体的にスマート製造を実現していくための「7つのリファレンス」を提示していることが特徴だ。

 コロナ禍を含め製造業を取り巻く環境は「不確実性」が高まっている。こうした状況でも柔軟で迅速な対応を行う「ダイナミック・ケイパビリティ」の強化が重要だとされている。NEDOではこうした背景を受け、2021年度(2022年3月期)から「5G等の活用による製造業のダイナミック・ケイパビリティ強化に向けた研究開発事業」を開始し、製造現場において、5Gなどの無線通信技術の活用により、柔軟で迅速な組み換えや制御が可能な生産ラインなどの構築や、IT/OTのシームレスなデータ連携によるサイバーフィジカルシステムの構築を推進し、不測の事態でも柔軟、迅速に対応できる仕組み作りを目指している。

 今回は、国内製造業のダイナミック・ケイパビリティ強化に向けて、スマート工場の全体像を示した上で、国内における現状と目指すべき方向性、評価指標、業種や規模別の導入事例などについてまとめたガイドラインを公開した。ガイドラインは画一的な回答を提示するものではなく、製造業が自社に合ったスマート化の道筋を描くための考え方や目指す姿を具体的に示した7つのリファレンスを提示している。

 7つのリファレンスは以下の通りだ。

1. 変革の起点となる外的要因(取り巻く環境変化)

2. 変革の起点となる内的要因(生産システム類型)

3. マニュファクチャリング変革課題マップ(何に取り組むべきか)

4. 変革課題別実現レベル5段階(どのレベルを目指すべきか)

5. 実現レベル別仕組み構築手法(どのように実現するか)

6. 企画から実装に至るプロジェクト設計

7. プロジェクト推進モデル事例

 製造業各社の生産システム特性の違いを踏まえつつ、経営課題からモノづくりプロセス全体の変革へと展開する手法をまとめたものは、国内外でも例が少ない。NEDOでは今回のガイドラインにより、オペレーション領域の変革手法に新たなスタンダードを提起するとしている。実際にスマート化プロジェクトのリーダー役を担う管理職やプロジェクトオーナーの経営層、各部門の実務リーダーにとっての手引きとして広く活用を訴えていく。

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