優秀だけどコミュ力のない部下を伸ばす「たった1つのリーダーの役割」

AI要約

歴史を学ぶことでビジネスの諸問題に解決策を見つける方法を解説。高度専門人材の採用や組織内の課題、コミュニケーション能力の重要性などに焦点を当てる。

新たなテクノロジーに対応するために高度専門人材の採用が進む中、組織内の壁や抵抗勢力にも直面。リーダーのサポートが重要であることも強調。

歴史上の人物の教訓から、ビジネスにおける成功と失敗の本質を学ぶことで、組織運営や経営戦略に新たな視点を得る。

優秀だけどコミュ力のない部下を伸ばす「たった1つのリーダーの役割」

 「仕事が遅い部下がいてイライラする」「不本意な異動を命じられた」「かつての部下が上司になってしまった」――経営者、管理職、チームリーダー、アルバイトのバイトリーダーまで、組織を動かす立場の人間は、悩みが尽きない……。そんなときこそ頭がいい人は、「歴史」に解決策を求める。【人】【モノ】【お金】【情報】【目標】【健康】とテーマ別で、歴史上の人物の言葉をベースに、わかりやすく現代ビジネスの諸問題を解決する話題の書『リーダーは日本史に学べ』(ダイヤモンド社)は、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康、伊達政宗、島津斉彬など、歴史上の人物26人の「成功と失敗の本質」を説く。「基本ストイックだが、酒だけはやめられなかった……」(上杉謙信)といったリアルな人間性にも迫りつつ、マネジメントに絶対活きる「歴史の教訓」を学ぶ。

※本稿は『リーダーは日本史に学べ』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。

● 最新テクノロジーに 対応する人材採用

 幕末の西洋医学や軍事学と同様に、いまは人工知能(AI)、電気自動車(EV)、再生エネルギーなど、新たなテクノロジーへの対応が必要となっています。

 そのような変化に対応するため、AIやデータサイエンスなど成長分野をけん引する専門的知識に精通した「高度専門人材」の採用が進んでいます。

 ほかの社員と同じ待遇では採用が難しいため、これまでの日本企業では考えられなかったような破格の待遇で採用されることもあります。

● 人間関係と組織の壁 をどう乗り越えるか

 一方、高度専門人材を採用したからといって、すんなりと組織で実力を発揮できるかというと、そうではありません。

 異なる業界や業種から転職してきた人が、独特の企業風土にとけ込めず、人間関係や組織の壁に悩まされることも少なくありません。

 ほかの社員からは、「急に横から入ってきて、この会社のことも、この業界のこともよくわかっていないくせに」などと、内心で疎まれることもあるでしょう。

● “できない理由”を並べる 社内の抵抗勢力

 また、斬新なとり組みを試みようとしても、「この会社ではこういう制約がある」などと“できない理由”を並べ立てられ、なかなか実行に至らないこともあります。

 かつて私が保険業界にいて、電子商取引(EC)を活用した保険販売が模索されていたころ、ECに知見がある人材を中途採用したことがありました。

 しかし、「保険業界のことを知らないヤツ」「新しいことに乗り出すにはリスクが高い」という社内で力のある抵抗勢力に翻弄され、遅々としてEC化が進みませんでした。その後、ネット生保が続々と誕生したことは、みなさんもよくご存じの通りです。

● コミュ力に難のある 高度専門人材の伸ばし方

 何かの領域の専門職として突出する人材は、宇和島藩で軍艦の造船に携わった際、軍艦が進む姿を見て宇和島藩の人が感動していると、「船なので進むのは当たり前です」と言ったり、長州藩の村で医者をしていたころ、夏に村人から「暑いですね」と社交辞令で声をかけられると、「夏なので暑いのは当たり前です」と返答して周囲を唖然とさせた大村益次郎と同様に、コミュニケーション能力に課題がある人も少なくありません。

 こうしたタイプの人は、実力を備えてはいても、その実力を発揮するために組織内で根回ししたり、人と交渉したりすることが苦手なことも少なくありません。

 このような高度専門人材の活躍には、長州藩のリーダーであった桂小五郎が大村に行ったような、リーダーによるサポートが大きな力になります。

 ※本稿は『リーダーは日本史に学べ』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。