海外だと寿司職人の年収が「1000万円」くらいと聞きました。今って日本で働くより「海外」に行ったほうが稼げるのでしょうか?

AI要約

日本の実質賃金が世界の主要国の中で最下位であり、過去25年間でほとんど変化していないことが分かりました。

海外での賃金は高い傾向にありますが、消費者物価指数も高く、生活水準が上がるとは限らないことに注意が必要です。

海外で働く場合には解雇リスクや就労ビザの取得必要性についても留意する必要があります。

海外だと寿司職人の年収が「1000万円」くらいと聞きました。今って日本で働くより「海外」に行ったほうが稼げるのでしょうか?

ここ数年、海外では日本食ブームが起きており、すし職人の年収が1000万円を超えるとのニュースを見かけることもあります。海外の平均賃金が上がっている背景から「今は日本より海外のほうが稼げるんじゃないか」と思った方もいるでしょう。

今回は、実質賃金における日本の立ち位置や、海外で働くうえで注意しておきたいポイントについて解説します。

厚生労働省が公表している「経済指標の国際比較」の資料によると、世界の主要国のうち、2021年の日本の実質賃金(マンアワーベース)は最下位でした。1995年の数値を基準とした平均伸び率において、日本は25年間でほとんど変化していません。

一方、アメリカやイタリアといった国では過去25年間の平均伸び率が0.5%~1.7%となっています。また、先進国と日本の実質賃金の差は、最大でおよそ1.4倍です。「海外のほうが稼げる」「日本は稼ぎづらい」といった意見は、あながち間違いではないといえるでしょう。

◆賃金が高い国は物価も高い傾向にある

厚生労働省の資料から海外は日本より稼げる可能性があることが分かりましたが、海外移住したからといって生活水準が上がるとは限りません。

同資料における消費者物価指数の国際比較を見てみると、多くの国が実質賃金の伸び率よりも高い割合で、消費者物価指数が上昇しています。消費者物価指数とは、消費者が購入するものやサービスなどの物価の動きを把握するための指標です。

高い実質賃金の伸び率を示していたアメリカやイギリスにおいては、実質賃金の成長具合よりも消費者物価指数の伸び率が上回っています。つまり、海外は稼ぎやすい一方で、生活に必要なお金が日本より多い可能性があるのです。

ここからは、海外で働くうえで押さえておきたいポイントを紹介します。確かに海外は日本より稼げる傾向にありますが、働き方や労働に対する価値観が日本と異なります。

また誰でも海外で働けるわけではありません。海外で働きたいと考えている場合、以下の点に気を付けましょう。

◆日本より解雇されやすい場合がある

日本の会社員は労働契約法や労働基準法によって不当な解雇から守られていますが、外国では解雇に対するハードルが日本より低いところもあります。

例えばアメリカにおいては随意雇用が雇用契約上の原則とされているため、一部の州を除いて、期間の定めのない雇用契約はいつでも自由に解約することができるとされています。そのため、雇用の安定性については気を付けるべきポイントといえるでしょう。

◆就労ビザが必要

海外で働くには就労ビザが必須です。取得の条件はそれぞれの国や、就きたい職種によっても異なるため、気になる方は事前にしっかりと調べておきましょう。