深刻な問題を起こしたセラピストが活動していることも… 規制なき「ライフ・コーチング」業界の課題(海外)

AI要約

セラピストがライセンスを失った後も、ライフ・コーチとして活動することがある。

ライフ・コーチング業界は45億ドルの売上高を記録し、規制がないため利用者は注意が必要。

セラピストがライセンスを失う理由は様々で、ユタ州ではライフ・コーチング業界を規制する動きがある。

深刻な問題を起こしたセラピストが活動していることも… 規制なき「ライフ・コーチング」業界の課題(海外)

ライセンスを失ったセラピストの中には、「ライフ・コーチ」として活動している者もいる。

ライフ・コーチング業界の2022年の売上高は45億ドル(約7200億円)にのぼった。

ライフ・コーチングは規制のない業界なので、利用者は慎重に行動する必要がある。

セラピストがライセンスを失った場合、たとえその理由がかなり悪質なものだったとしても、彼らは必ずしも仕事を変えなければならないわけではない。「ライフ・コーチング」に挑戦することもできる。

ライフ・コーチは、クライアントのより良い人生のためにアドバイスを与えるウェルネスの専門家だ。セラピストと違って、ライフ・コーチは専門的な訓練を受けたり、倫理指針に従う義務はなく、行政によって規制されているわけでもない。国際コーチング連盟(ICF)によると、この緩やかに定義された専門家集団は2022年に45億ドルの収益を上げた。

多くの人々がライフ・コーチのおかげで自分の人生やキャリアがポジティブに変化したと信じている一方で、ライフ・コーチは誰でも名乗ることができる。ここに問題がある。

アメリカ、ユタ州の元セラピストで、物議を醸した子育て系YouTubeチャンネル『ConneXions』をビジネスパートナーのルビー・フランケ(Ruby Franke)とともに運営していたジョディ・ヒルデブラント(Jodi Hildebrandt)は長年、自らをライフコーチと名乗っていた。2人は2024年2月、児童虐待の罪で最長30年の実刑判決を受けた。

確かに、ヒルデブラントは極端な例だ。ただ、プロパブリカ(ProPublica)の最新の報告によると、2010年以降、ライセンスを返上したユタ州のメンタルヘルスの専門家43人のうち、少なくとも3分の1がこれまでと同じような仕事を続けているという。彼らはリンクトイン(LinkedIn)で自らを「メンタルヘルス・アソシエイト」「モチベーショナル・スピーカー」「ライフコーチ」と名乗る。

情報漏洩から不適切な関係への関与まで、セラピストがライセンスを失う理由はさまざまだ。プロパブリカの分析によると、薬物の乱用から患者との不適切な接触、性的搾取に至るまで「深刻な理由」でセラピストのライセンスを失ったものの、メンタルヘルス分野で働き続けている者もいた。

ユタ州の職員で、セラピストのライセンスを監督しているマーク・スタイナゲル(Mark Steinagel)は、ライセンスを失ったセラピストがライフ・コーチとしてこれまでと同じ仕事をすることを防ぐことはできないとプロパブリカに語った。ただ、彼らがセラピストに戻らないよう、調査員が監視しているという。

ヒルデブラントの事件をきっかけに、ユタ州ではライフ・コーチング業界を規制する法律が作られようとしている。法案は現在、立法審査中だ。

ライフ・コーチングをこれから利用したいと考えている人は、よく調べてからライフ・コーチを選んだ方がいい。

「コーチングはセラピーではありません。どんな形であれ、混同してもらいたくありません」とライフ・コーチのスザンヌ・カルバーグ(Suzanne Culberg)はライフ・コーチングの倫理について、ユーチューバーのダニエル・ライアン(Danielle Ryan)のインタビューで語っている。

カルバーグはこれまでのキャリアの中で、自らの年収を多く言ったり、資格や技能を誇張したり、自分を偽ってアピールするライフ・コーチを見てきたという。

「彼らは正しいことを言っていて、セールスページはすごく良く見えます。ただ、コーチングは規制のない業界です」

(敬称略)