「資格がほしい!」いきなりプログラミングスクールに通う人がハマる落とし穴

AI要約

「強み」を伸ばすだけでなく、「強みを活かす」ことの重要性について述べられている。

「強み」とは相対的な価値であり、環境や周りの比較によって変化することが強調されている。

「強み」を持つだけでなく、その強みを活かせる環境を見つけることの重要性が指摘されている。

「資格がほしい!」いきなりプログラミングスクールに通う人がハマる落とし穴

 今後のキャリアのために、自分の「強み」を伸ばしたいと考える人は少なくないだろう。もちろん、強みそのものを伸ばすことも大切だが、実は「強みを活かす」上で多くの人が見逃しがちな視点がある。※本稿は、石倉秀明『CAREER FIT 仕事のモヤモヤが晴れる適職の思考法』(宝島社)の一部を抜粋・編集したものです。

● 「強み」とは、あくまでも相対的なもの

 「強み」とは、基本的に相対的な価値で決まるものです。

 例えば、どんなに野球がうまいという人でも、イチローと比べられてしまったら、それは「強み」にならないでしょう。「野球がうまい」という「強み」は、もはや「強み」とはいえなくなります。しかし、その人が町内で集まっている草野球チームに入ったらどうでしょうか。たちまちにそれは「野球がうまい」という強みとして輝くのではないでしょうか。

 このように、「強み」とは、各人にとって動かし難い絶対的な評価ではなく、あくまでも相対的なものに過ぎません。にもかかわらず、「強み」というと、何かその人の「本質」を表すような、難しい話にしてしまいがちです。

 誰もがイチローの野球センスや技術、才能のような、ずば抜けた「強み」を手にする必要はありません。草野球で活躍できるくらいの野球のうまさでも、それは強みを発揮する場所を変えれば十分意味を持ちます。

 つまり、「場所」が重要なのです。

 自分の強みを活かせる「場所」、自分の強みがちゃんと「強み」として成り立つような「場所」をきちんと探すことのほうが、頑張ってイチローを目指すより大事なのではないかと思います。

 ビジネスの現場に落とし込んで考えてみましょう。

 例えば、僕が営業の得意なサラリーマンだったとします。しかし、これが営業利益率55%超ともいわれるセンサ、測定器、画像処理、計測、解析、ビジネス情報機器製造販売のキーエンスや、外資系生命保険会社でも売上高上位のプルデンシャル生命保険など、営業の猛者みたいな人間ばかりのところで働くとしたらどうでしょう。

 本当にすごい力があって、もしかして活躍できる可能性もないとは言い切れませんが、そんな猛者たちのなかで自分の強みをうまく発揮して頭角を現し、活躍するのは、至難の業だと思います。

 しかし、これが、とてもよいプロダクト(商品、製品)を販売しているのにエンジニアばかりで「営業が弱点」と思われる会社に入ったとすればどうでしょう。そこまでの営業力がなかったとしても、その会社では、その人の営業力は「強み」になります。

 会社の中ではとても重宝されるようになるでしょう。つまり、周りの環境で、その人の「強み」は変わるのです。「強み」が「絶対価値ではなく、相対価値である」とは、そういうことです。

 たとえ些細な強みであっても、その人がどんな場所・環境にいるかで、それが強く見えたり、弱く見えたりする。周りとの比較によって、偏差値70にも、偏差値50にもなるのです。

● 「強み」だけを鍛えても意味がない

 多くの場合、人は自分の「強み」を持とうとするときに、つい、自分の「強み」をさらに磨くことばかりを考えてしまいます。

 「キャリアアップをするためには」とか「ビジネスパーソンとして成長を最大化する」とか、よくビジネス誌やビジネス記事にあるような、耳に心地よいけれども実際は何を言っているのかよく分からないキャッチ(キャリアとはそもそも何でしょうか、それがアップするとは? ビジネスパーソンの成長とは? そもそもなぜ成長を図るのでしょうか… …etc.)に翻弄されて、このままではいけないのではないかという焦りが、きっとそうさせるのではないかと思います。