24年上期 健康食品の受託製造企業調査 紅麹問題、57%が「影響あり」

AI要約

健康食品受託製造企業の調査結果によると、2024年上期は増収企業が54%となったが、経営が良好と回答する企業は減少。紅麹問題による影響もあり、風評被害の影響があったものの、海外案件やNMN人気などプラス要素もある。

上期の経営状況では、海外案件が増加し、「悪かった」と回答する企業も増加。紅麹問題による影響もあったが、NMNや海外案件が市場を支えている。

受託市場では人手不足が課題であり、コスト増に対応する企業が多かった。2024年下期は不透明感があり、海外向け受託や新たな市場拡大が期待されている。

 本紙が定期的に実施している健康食品の受託製造企業調査で、2024年上期の増収企業は54%で過半数となったものの、経営良好との回答は前年同期調査の36%から31%に減少した。紅麹問題については、57%の企業が「影響あり」と回答。コロナ禍による影響から回復基調にあった市場は紅麹問題で風評被害を受けたが、海外案件の増加やNMN人気など、プラス材料も見られる。

■海外案件が増加

 調査は5月中旬から6月初旬にかけて全国の健康食品受託製造企業約260社を対象に実施、139社から回答を得た。回答企業の約47%は、売上高が10億円未満の企業。

 売上高について回答があった企業で、増収となったのは54.0%。減収企業は29.4%で、前年並みが16.7%だった。

 上期の経営状況を聞いたところ、「良かった」は30.5%で、前年同期調査から5.6ポイントダウン。「悪かった」は21.4%で6.6ポイント増加し、3年ぶりに2割を超えた。「どちらともいえない」は48.1%。「良かった」とする企業からは、特に海外案件が増加したとの声が目立った。一方で「悪かった」「どちらともいえない」とした企業からは、原材料の高騰など各種のコスト増を理由に挙げる企業が多かった。

 小林製薬の紅麹問題による影響は、56.7%が「あり」と回答。「問い合わせ対応に追われた」といった声が相当数に上り、全く関係のない原料への問い合わせも寄せられた。このほか、「開発案件の延期」「発注案件が止まった」「他商品への信用不安にもつながった」「風評被害」との声が聞かれた。

■NMN、国内外で人気

 景気の指標となる設備投資を行った企業は50.4%。8社が新工場を建設した。海外向け受託を行っている企業は63.6%。海外受託の割合が増加しているとの回答は45.0%だった。増えているジャンルは「美容系」「NMN」が目立った。

 「NMN」は国内人気も継続。上期の人気受注素材は、前回調査で2位だった「NMN」がトップとなった。前回トップの「乳酸菌」は僅差で2位。「プロテイン」と「コラーゲン」が3位で並んだ。

 一方、受託企業にとっての大きな課題である人手不足は依然解消されていない。「人手不足」(37.4%)と「やや人手不足」(41.5%)の合計は78.9%だった。

 24年下期に増収を見込むのは53.2%。ただ、経営状況が「良くなる」とするのは29.3%にとどまり、「どちらともいえない」が63.2%。円安や人手不足などのほか、紅麹問題による影響や、それに伴う機能性表示食品制度の改正といった動きがあり、先行き不透明感が増しているようだ。プラス材料としては、海外向け受託の伸びや、復調してきたインバウンド、市場拡大が期待できるフェムケアやペットサプリなどを挙げる声が聞かれた。

 受託市場の環境や今後の課題を聞いたところ、各種コスト増への対応を指摘する企業が目立った。紅麹問題を踏まえたさらなる品質向上に取り組むという声も。ただそうした対応による加工費アップがどこまで許容されるかは別問題で、業界全体で対処していく必要性を指摘する声もあった。