「自己愛」が強すぎて「職場を腐らせる」会社員の「迷惑すぎる実態」

AI要約

根性論を押しつける、相手を見下す、責任をなすりつける、足を引っ張る、人によって態度を変える、自己保身しか頭にないとされる人たちについて、著者が豊富な臨床例から解説。

自己愛の持ち主が羨望を抱くことを認めず、他者の幸福を無価値化しようとする心理を明らかにする。

海外赴任への熱望や新たなプロジェクトへの嫉妬が、職場での陰湿な態度へとつながる一例を提示。

「自己愛」が強すぎて「職場を腐らせる」会社員の「迷惑すぎる実態」

 根性論を押しつける、相手を見下す、責任をなすりつける、足を引っ張る、人によって態度を変える、自己保身しか頭にない……どの職場にも必ずいるかれらはいったい何を考えているのか。発売たちまち5刷が決まった話題書『職場を腐らせる人たち』では、ベストセラー著者が豊富な臨床例から明かす。

 自分が羨望を抱いていることは、誰だって認めたくない。なぜかといえば、自分がうらやましいと思っていると認めることは、自分のほうが羨望の対象よりも劣っていると認めることにつながるからだ。

 そんなことは、強い自己愛の持ち主にとって耐え難い。だから、自分には羨望のような陰湿な感情などないかのようにふるまおうとする。それでも、羨望が募ると、どこかで吐き出さないと精神のバランスを保てなくなる。そこで、ケチをつけて、他人が手にしている幸福を無価値化しようとする。

 この男性が吐いた毒を含んだ言葉はすべてこの文脈で理解できる。新しいプロジェクトを立ち上げようと頑張っている後輩に嫌みを言うのは、自分も何か企画を出して、上司に認められ、プロジェクトリーダーとして活躍したいという願望があるからだろう。だが、自分には新たな企画を考え出す力はない。第一、直属の上司と反りが合わないので、せっかく企画を出しても、却下されかねない。そういう状況で後輩が出した企画が認められ、新しいプロジェクトの立ち上げに向けて予算までついたのだから、嫌みの一つも言いたくなっても不思議ではない。

 海外赴任にしても、この男性が実は熱望していたらしいことが明らかになった。20代の頃、海外支社に転勤になるかもしれないからと熱心に英会話教室に通っていたという。もっとも、課長の一歩手前のポジションで足踏みしているうちに、製造拠点の海外への移転が急速に進み、主要なポストは埋まってしまったので、よほどのことがない限り、今後しばらくはこの男性に海外勤務の話はきそうにない。だからこそ、海外に赴任することになった同僚に、あたかも不幸を願うかのような言葉を吐いたのではないだろうか。