意外と知らない、職場も部下も壊す「自己正当化」する人たちの「恐ろしき生態」

AI要約

『職場を腐らせる人たち』では、職場を腐らせる人の心理を自己保身、喪失不安、感情に突き動かされること、自己正当化から解説している。

自己保身願望は防衛本能から来ており、多少なりとも誰にでも備わっている。この必死さが他人を傷つけたり、迷惑をかけたりする行動に至る。

自己正当化は嘘よりも厄介であり、自己正当化のメカニズムによって自分が悪いとは思わず、同じ過ちを繰り返す傾向がある。

意外と知らない、職場も部下も壊す「自己正当化」する人たちの「恐ろしき生態」

 根性論を押しつける、相手を見下す、責任をなすりつける、足を引っ張る、人によって態度を変える、自己保身しか頭にない……どの職場にも必ずいるかれらはいったい何を考えているのか。発売たちまち5刷が決まった話題書『職場を腐らせる人たち』では、ベストセラー著者が豊富な臨床例から明かす。

 残酷な現実ではあるが、職場を腐らせる人を変えるのは難しい。

 『職場を腐らせる人たち』では、その理由として、たいてい自己保身がからんでいる、根底に喪失不安が潜んでいる、合理的思考ではなく感情に突き動かされている、自分が悪いとは思わない、の4つを挙げている。

 例えば、「たいてい自己保身がからんでいる」とはどういうことか。

 〈平社員が叱責されてパワハラと騒ぐのも、不和の種をまくのも、責任転嫁するのも、あるいは上司が部下に過大なノルマを押しつけるのも、根性論を持ち込むのも、相手によって態度を変えるのも、煎じ詰めればわが身を守るためだろう。〉(『職場を腐らせる人たち』より)

 〈そもそも、自己保身願望は防衛本能に由来し、人間が動物である以上、誰にでも多かれ少なかれ備わっている。だから、本人が追い詰められ、ピンチと感じるほど、知らず知らずのうちに自己保身願望が頭をもたげる。そして、自分を守るためになると思えることなら何でもやらずにはいられない。手負いの獣が死に物狂いで戦うのと似ている。

 それが結果的に他人を傷つけたり、周囲に迷惑をかけたり、場合によっては法に触れたりする事態を招いても、「自分を守るためには仕方がない」と正当化する。「自分を守るためには何でもする」という必死さが「自分を守るためなら何をしてもいい」という理屈に転換されることだってあるだろう。そうなれば、罪悪感も良心の呵責も覚えずにすみ、心穏やかでいられる。〉(『職場を腐らせる人たち』より)

 さらに、「自分が悪いとは思わない」という点もやっかいだ。

 〈周囲が注意しようが、辟易しようが、同じことを繰り返している。これは、受信器の感度が少々低いせいではないかと疑いたくなるが、それだけではないだろう。自分の落ち度を決して認めたくなくて、自己正当化のメカニズムが働くせいでもある。

 自己正当化は嘘よりも厄介だ。なぜかといえば、嘘をついている人には、その自覚があるが、自己正当化は知らず知らずのうちに行われ、その自覚がないからだ。当然、自分が悪いとは思わないし、反省も後悔もしないので、同じことを繰り返す。この傾向、つまり反復強迫は、自己正当化が功を奏して周囲から許容されたり黙認されたりした過去の成功体験が大きいほど強まるように見受けられる。〉(『職場を腐らせる人たち』より)

 つづく「どの会社にもいる「他人を見下し、自己保身に走る」職場を腐らせる人たちの正体」では、「最も多い悩みは職場の人間関係に関するもので、だいたい職場を腐らせる人がらみ」「職場を腐らせる人が一人でもいると、腐ったミカンと同様に職場全体に腐敗が広がっていく」という著者が問題をシャープに語る。