JALとスプリング・ジャパン、“未来の同僚”へ航空授業 空港見学・遊覧、人手不足に先手

AI要約

日本航空(JAL/JL、9201)グループは成田空港で小学生向けの航空業界学習を実施。地上係員による空港見学やスプリング・ジャパンによる遊覧飛行を通じて、業界への興味や理解を深める取り組み。

初日のイベントでは顔認証技術や自動手荷物預け機などを見学し、スプリング・ジャパンが周遊フライトを実施。児童たちは機内で様々な体験やクイズに挑戦し、航空業界に触れた。

JAL成田空港支店はコロナ後の人材育成に重点を置き、航空業界への関心を高める教育プログラムを地域と連携して展開していく考え。

JALとスプリング・ジャパン、“未来の同僚”へ航空授業 空港見学・遊覧、人手不足に先手

 日本航空(JAL/JL、9201)グループは6月24日、成田空港で小学生を対象とした航空業界学習を開催した。空港近くにある茨城・稲敷市の小学6年生を対象に、地上係員による空港見学と、グループLCCのスプリング・ジャパン(旧春秋航空日本、SJO/IJ)による遊覧飛行を実施。課外授業を通じて業界への興味や理解を深めてもらい、将来の人材確保につなげたい狙いがある。

◆スプリング浅見社長「航空好きになって」

 対象は市内の小学校8校に通う6年生約240人で、24日と28日の2日間4校ずつに分けて実施する。初日の24日は江戸崎小、沼里小、新利根小、あずま北小の4校計150人超が参加。空港見学はJALグループで成田空港の旅客サービスなどを担うJALスカイの旅客スタッフがガイド役を務め、顔認証技術を用いた“顔パス(ウォークスルー)”の搭乗手続き「Face Express(フェイスエクスプレス)」や、自動手荷物預け機(SBD=Self Baggage Drop)を見学した。

 周遊フライトはスプリング・ジャパンが担った。同社の浅見達朗社長も同乗し、出発前の児童に「航空を好きになって」とメッセージを送った。浅見社長らは搭乗する児童をハイタッチで出迎えた。

 成田発着のIJ9174便(ボーイング737-800型機、登録記号JA05GR)として運航した周遊フライトは、富士山付近や南アルプス付近などを低高度で飛行した。機内では、説明役を務めるパイロットも同乗し、副操縦士の松澤浩介さんが機外の景色や航空の豆知識などを紹介した。また、初搭乗の児童も多かったことから、間瀬友晴機長が「揺れても安全に問題ない」とアナウンスし、緊張をほぐす場面もみられた。

 機内では児童4人がアナウンスを体験。児童はお仕事クイズにも挑戦し、JALグループ整備会社のJALエンジニアリング(JALEC)の整備士と、スプリング・ジャパンの客室乗務員が、航空業界や機体などに関するクイズを出題した。

 このほか客室乗務員によるシートベルト着脱の練習や、体をほぐす「リラックス体操」なども体験。記念品のほかカツサンドやチリコンカンなどの機内食も提供し、JALグループのジャルロイヤルケータリング(JRC)が製造した。

 初回となった24日の周遊チャーターには児童などの学校関係者131人を含む156人が搭乗。101番駐機場を午前11時33分に出発し、同58分にA滑走路(RWY16R)を離陸した。その後、午後1時58分にB滑走路(RWY34R)へ着陸。午後2時8分に401番駐機場へ到着した。

 2回目は28日に予定し、高田小、桜川小、あずま東小、あずま西小の児童ら123人を含め142人が搭乗する見通し。

◆「コロナ後は人材育成に主眼」

 稲敷市は成田空港の北部にあり、北風時の出発と南風時の到着で飛行経路になっている。成田空港を運営する成田国際空港会社(NAA)は既存のB滑走路の延伸と、第3滑走路(C滑走路)の新設を計画。2028年度末の完成後は、年間発着回数を50万回に拡大させる。

 JAL成田空港支店の真行寺誠副支店長は、「新型コロナの影響でできなかった修学旅行の代替として、体験教室などを実施してきた。これまでの地域の発展に加え、コロナ後は人材育成に主眼を置く」とし、課題となっている航空業界の人手不足へ先手を打ちたい考えだ。稲敷市はB滑走路の延長線上にあることから「航空に対する興味を強く持っていただいた」という。

 スプリング・ジャパンの浅見社長は、今回の航空課外授業の狙いについて、「地域との連携」「児童に旅に出る喜びを感じてもらう」「人材育成」の3つがあるとし、「飛行機好きになってもらって、将来は航空業界でがんばってもらいたい」とエールを送った。

 稲敷市教育委員会の板橋渉教育部長によると、今回の周遊チャーターは2023年に続き2回目になるという。「前回(23年)は親子70組を招待したが、抽選となった。今年度は小学6年生全員に体験してもらい、成田空港を“将来の職場”として視野を広げてもらいたい」と狙いを説明し、来年度以降も継続したいとした。