首都圏でアツ~い「温浴施設ウォーズ」勃発!愛知企業が殴り込み、利用客の争奪戦に火花

AI要約

首都圏に愛知県発祥の強力なプレイヤーが参入し、温浴施設市場に地殻変動が起きている。

新たな巨大温浴施設が相次いで開業し、従来のスーパー銭湯とは異なるサービスを提供している。

競争が激化する中、既存店もリニューアルや移転などで対抗しようとしている。

首都圏でアツ~い「温浴施設ウォーズ」勃発!愛知企業が殴り込み、利用客の争奪戦に火花

 首都圏の温浴施設市場に愛知県発祥の強力なプレイヤーが参入したことで、地殻変動が起き、既存店に影響を及ぼしている。10年前には考えられなかった「温浴施設ウォーズ」がなぜ今、勃発しているのだろうか。(温泉ソムリエ・エキスパート 宮武和多哉)

● 愛知県の企業が首都圏に参入! 「アツ~い温浴施設ウォーズ」勃発

 いま首都圏を中心に、巨大な温浴施設が続々と誕生している。かつてのスーパー銭湯や健康ランドのイメージを払拭するサービスを提供し、利用客の争奪戦が起きている。

 競争が激化するきっかけとなったのが、2019年3月に東京都東久留米市で開業した「スパジアムジャポン」だ。約1.2万平方メートルという広大な敷地に天然温泉や名水風呂など15種類の風呂とサウナがあり、サウナはオートロウリュ(高温のスチームを自動発生させる装置)付きのものや塩サウナ、樽型サウナ、グランピング気分が味わえるテントサウナなども備える。風呂好き、サウナ好き、双方のニーズをがっちり満たしてくれる。

 かつ、館内には巨大なフードコート、エステや岩盤浴もある。さらに、休憩スペースは半個室、ハンモック、ベッド状、リクライニング、畳など種類が豊富で、コワーキングスペース状の席で仕事をしている人もいる。

 通称「スパジャポ」は、これまでのスーパー銭湯にあった「ちょっと広い風呂に入って、カーペット敷きの大広間で雑魚寝する」といったイメージとは一線を画す。その割に、従来のスーパー銭湯と料金は大差ない(平日850円・土日祝日は950円)。東京と埼玉県の境にある立地のため両側から集客を行うことができ、連休前の天気が崩れた日などは、遠出を避ける人々で激しく混雑し入場制限をすることもある。

 この大人気を受けて、スパジャポを運営するZIP社は7月に、巨大温浴施設「温泉バルコニー キング&クイーン」を埼玉県所沢市にオープンさせる予定だ。スパジャポの商圏である西武新宿線、西武池袋線、東武東上線、JR武蔵野線の沿線(いずれも最寄り駅から無料シャトルバス運行でカバー)を中心に、客の争奪戦がさらに激しくなるだろう。

 一方で、既存のスーパー銭湯大手「おふろの王様」は、20年近く営業していた東久留米店を閉店し、少し離れた埼玉県和光市に新店を出した。スーパー銭湯で業界トップを走る「極楽湯」も、和光店の大規模リニューアルで競争に応じている。

 ところ変わって千葉県では、22年4月にオープンした「スパメッツァおおたか 竜泉寺の森」が好調だ。こちらは通常の5倍近くも炭酸泉を溶け込ませた高濃度炭酸泉や、ストーブ5台を使用する「ドラゴンサウナ」などが独創的で、「サウナミシュラン2022」などのランキングで1位を獲得している。また、タオルや館内着の自動受け渡しなど、徹底して省力化した館内システムも見ものだ。

 この施設を運営するオークランド観光開発は、「竜泉寺の湯」ブランドを首都圏で出店しており、地場のスーパー銭湯や健康ランドと競争を繰り広げてもいる。

 実は、ZIP社もオークランド観光開発も愛知県発祥の企業だ。強力なプレイヤーが参入したことで、首都圏の温浴施設市場に地殻変動が起き、既存店に影響を及ぼしている。10年前には考えられなかった「温浴施設ウォーズ」がなぜ今、勃発しているのだろうか。