最高値更新を続けるS&P500種に警鐘、上昇銘柄の減少が鮮明に

AI要約

S&P500種株価指数を最高値に押し上げ続けている数社の大手ハイテク企業を除くと、市場全体は停滞気味である。

上昇に参加する銘柄は少なく、アップルやエヌビディアなどわずかな企業によって支えられている。市場は大手テクノロジー企業に依存しすぎている状況である。

市場全体の裾野が狭まり、持続性に疑問符がついている状況。投資家の株式保有増加が限られている可能性が高い。

(ブルームバーグ): S&P500種株価指数を最高値に押し上げ続けている数社の大手ハイテク企業を除けば、エンジンはガス欠状態のように見える。

S&P500種が最高値更新を繰り返す一方、今年の上昇に参加する銘柄は少なくなっている。ブルームバーグが先週末までに集計したデータによると、同指数構成銘柄のほぼ3分の1が過去1カ月に1カ月ぶり安値を付けている。これは上昇銘柄をはるかに上回っている。実際、1カ月ぶり高値を付けたのはアップルやエヌビディアなどわずか3.2%の企業に過ぎない。エヌビディアはマイクロソフトを抜いて時価総額で世界首位になったばかり。

ファイナンシャル・エンハンスメント・グループのテクニカルアナリストでポートフォリオマネジャーのアンドルー・スラッシャー氏は「売り手が市場に参入し、強気派はナイフの刃の上で踊っている」と指摘。「全てがエヌビディアとアップルに依存しているような状態だ。この相場を下落させるには、多くのことを必要としないだろう」と述べた。

S&P500種は今年に入って最高値を31回更新しているが、大手テクノロジー銘柄以外、ほとんど上昇に参加していない。ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)の株式ストラテジスト、ジリアン・ウォルフ氏がまとめたデータによると、過去3カ月間、同指数の時価総額上位10銘柄(ほとんどがハイテク大手)は中央値で17%上昇したが、その他の銘柄は1.3%下落した。

さまざまな指標を見ると、市場の裾野は狭く、上昇の持続力に対する不確実性を高めている。上昇銘柄から下落銘柄を差し引いた数を追跡する指標、ニューヨーク証券取引所(NYSE)の騰落株線は14日に6週間ぶりの低水準となった。

S&P500種構成銘柄のうち50日移動平均線を上回って取引されている銘柄の割合も低下している。1月の92%、3月下旬の85%から低下し、今月17日には47%に落ち込んだ。米国株の総ポジショニングの指標が数年ぶり高水準で推移している中でこれが起こっているため、投資家が株式保有を増やす余地がほとんどないとの懸念が高まっている。投資一任契約やルールに基づく投資家の株式エクスポージャーを示すドイツ銀行の指標は、2021年11月以来の高水準で推移している。