タイ中銀総裁、インフレ目標引き上げに反対-経済成長にリスクと主張

AI要約

タイのセタプット中央銀行総裁は、インフレ目標引き上げのリスクに警告。現行の目標は適切で機能的と主張。

財務相がインフレ率目標引き上げに言及するも、エコノミストらは効果なしと指摘。

セタプット総裁はインフレ期待が不安定になれば、物価上昇加速や経済リスクが高まると警告。

(ブルームバーグ): タイ銀行(中央銀行)のセタプット総裁は18日、中銀のインフレ目標を引き上げようとする動きは、インフレ期待を不安定にし、物価上昇を加速させ、経済成長にリスクをもたらす可能性があると警告した。

同総裁はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「現在のインフレ目標レンジは状況に適しており、うまく機能している」と主張し、1-3%という現行レンジからインフレ目標を引き上げると「期待が固定されなくなるリスクが高まる」と語った。

タイの消費者物価指数(CPI)が3月まで6カ月連続で前年同月比で低下すると、ピチャイ財務相が先月、インフレ率目標引き上げの可能性に言及。ブルームバーグ・エコノミクス(BE)のタマラ・ヘンダーソ氏らアナリストは、そうした戦術は無駄であり、生活費を抑制する取り組みを複雑にするだけとの見解を示している。

セタプット総裁は8月に開始が予定されているインフレ目標の検証に先立ち、「もしインフレ期待が固定されなくなれば、実際のインフレ率が上昇し始め、インフレ加速が見られるかもしれない」と述べた。「インフレ期待が高まれば、政府や国全体の借り入れコストが上昇する可能性がある」とも指摘した。

物価上昇率が5月にタイ中銀の意図する範囲に戻ったこともあり、同中銀は先週、政策金利を4会合連続で2.5%に据え置いた。

原題:Thai Central Bank Chief Warns Against Inflation Target Reset (1) (抜粋)

--取材協力:Cecilia Yap、Claire Jiao、Pathom Sangwongwanich、Janine Phakdeetham.

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